グラスホッパー (角川文庫)

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本棚登録 : 32543
レビュー : 2765
著者 :
林檎飴甘さん サスペンス   読み終わった 

スピード感のある展開。暴力的な空気。行き着く先が見えないストーリー。
「鈴木」「鯨」「蝉」の三人が交差しあいながら進んでいく流れは伊坂さんらしい。
とにかく、主要人物である三人が魅力的だ。
暴力とは無縁の人生を送っていたはずなのに、妻が殺されてからは復讐者となっていく鈴木。
一気に極端へ走るくせに、しっかり計画して動いているかというとそうでもない。
自殺専門の殺し屋「鯨」は、いつも自分が自殺させた人間の幻覚を感じている。
亡霊たちに話しかけられ、現実と幻覚との境界がどんどん曖昧になっていく。
身体能力の高さを活かし、ナイフを使って殺しをする「蝉」。
仲介者を通して仕事を請け負っていたが、トラブルに巻き込まれ仲介者は消されてしまう。
「鈴木」の復讐相手である寺原Jrが「押し屋」に押されたことで、彼ら三人の道は徐々に交差していく。
それぞれの視点で語られているところもいい。
内容的にはかなりハードな場面もあるはずなのに、妙に血の匂いがしない。
ただ、時間が積み重ねられ、その中を登場人物が動きまわっているのを眺めているような感覚だ。
独特の世界観に自然と引き入れられ、強烈な個性を持つ登場人物たちが次にどんな行動をするのか、共感するわけでもなくただ待っている。
物語の終わり方も好みだった。
あっけないと思う人がいるかもしれないけれど、「そうか、こう終わるのか」という面白さを感じた。

レビュー投稿日
2017年4月11日
読了日
2017年4月11日
本棚登録日
2017年4月11日
8
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