下山事件(シモヤマ・ケース) (新潮文庫)

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本棚登録 : 371
レビュー : 47
著者 :
林檎飴甘さん ノンフィクション   読み終わった 

1949年7月5日、初代国鉄総裁・下山定則が出勤途中に行方不明となり、翌6日未明常磐線五反野ガード下の線路上で轢死体となって発見された。
通称「下山事件」である。
戦後のこの時代のことを、ほとんど何も知らない。
自分が生まれていないどころか、親たちですらこの世に存在していない。
日本国でありながら、国旗である「日の丸」の掲揚が許されない時代があったことなど、まったく知らなかった。
同様に、当時の政治事情やアメリカとの微妙な関係についても何も知らない。
松本清張さんがこの時代のことを「日本の黒い霧」に書いているらしいが、残念ながら読んだことはない。
政治犯の釈放に合わせた共産主義容認の流れ。
組織化し強大な力を持ちつつあった組合への対策。
相次ぐ鉄道関連事故の発生により、メディアを含む世論は一斉に共産主義=怖ろしいという考えに傾いていく。
作品の中に登場する多くの固有名詞。
私ですら知っている有名な名前をあれば、たぶん知る人ぞ知るといった名前も登場しているようだ。
事件の背景にある見えない力を恐れ、文字通り墓場まで秘密を抱えて逝った人も多いのだろう。
何が真実なのか。結論は出ないまま作品は終わっている。
丁寧な取材で掴んだ多くの証言。
個々に見えていたものの後ろに隠されていた意外な繋がり。
戦後とは想像もつかないほど混沌とした時代だったのだろう。
その裏で誰が何のためにどんなことをしていたのか。
確かなことは、その時代があったからこそ今の日本があるということだけだ。
「下山事件」は「三鷹事件」「松川事件」と共に語られることが多いらしい。
三つを総称して「国鉄三大ミステリー事件」と呼ばれている。

レビュー投稿日
2017年3月2日
読了日
2017年3月2日
本棚登録日
2017年3月2日
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