民王 (文春文庫)

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本棚登録 : 4624
レビュー : 552
著者 :
林檎飴甘さん 一般小説   読み終わった 

ある日突然、総理大臣の父親と漢字もろくに読めないバカ息子の意識が入れ替わった。
何とも荒唐無稽な話だけれど、入れ替わってしまった後のふたりのようすが面白い。
最初は戸惑ってばかりいた二人だけれど、世間に公表するわけにもいかず、それぞれ総理大臣や大学生として国会や就職試験に臨むことになる。
いくらバカ息子とは言っても一応大学生。
こんな漢字くらい読めるだろう!とつっこみを入れながらも、漢字なんか読めなくてもピュアでまっすぐな心を持ち続けている翔には好感が持てる。
国家のことなんて二の次三の次、相手を蹴落とすことばかり考えている国会議員には翔が言っていることなんて耳に届かないだろうけれど。
父である泰山も、就職試験のために書かれた志望動機を読んであらためて息子の思いを知る。
表向きの企業理念と、内向きの理想なんて追い求めていたら経営なんか成り立たないと考えている実情。
実際の企業にも当てはまるような話の展開に、ちょっと考え込んでしまった。
綺麗事はいくらでも言える。
でも、その通りにしていたら利益を求めるという企業の根幹が揺らいでしまう。
その兼ね合いが難しいのだろうな、と。
入れ替わったことで泰山は政治家としての初心を思い出し、翔はあらためて社会というものを考えるようになる。
痛いところを突きながら、エンタメ性の高い物語にしているところが池井戸さんらしい。

レビュー投稿日
2017年4月14日
読了日
2017年4月14日
本棚登録日
2017年4月14日
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