女性刑事を主人公にした警察小説は多い。
大概美人で優秀な刑事で、そして孤独だ。
彼女たちはみな、女性であること・・・美人であることが刑事としては何の意味もないと思っているようにみえる。
「プラ・バロック」の主人公・クロハもまた似たようなキャラクターだ。
人とコミュニケーションを取ることが苦手で、インターネット上でさえ例外ではない。
適度に放っておいてくれて、適当に距離がある空間・・・ネット上でクロハがたどり着いたのは、仮想空間の中にある酒場だった。
しかし、インターネットの世界は、結局のところリアル社会の延長線に位置するものでしかない。
ネット回線の向こう側にいるのは生きている人間なのだし、ネット上で何かアクションを起こせば必ずその痕跡は残ってしまう。
クロハの個人情報も、クロハ自身が気づかないうちにその素性と共に第三者に知られてしまっていた。
インターネット上に存在する仮想空間。
見知らぬ人たちが集い、やがてひとつの目標に向かって動き出す。
その裏にひっそりと隠れている悪意。
クロハは徐々に真実へと近づいていく。
新たな試みが散りばめられたゲームのような物語だった。
名作だとは思わないけれど悪くはない。何故こんな哀しい結末に?と思わずにはいられない後味の悪さがなければ、もっとよかったのに・・・と思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
警察小説
- 感想投稿日 : 2017年3月8日
- 読了日 : 2017年3月8日
- 本棚登録日 : 2017年3月8日
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