書店ガール (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所 (2012年3月29日発売)
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感想 : 759
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書店をはしごするのが好きだ。
店によって品揃えはもちろん、同じ本でも並べ方が違うし、雰囲気もまったく違う。
それぞれの店に特徴があって楽しい。
大抵の場合、作家名をあいうえお順に並べている。
読み方を間違えてまったく違うところに並べられていたりすると、何となく悲しくなる。
勝手な思い込みだけれど、書店員はやはり本が好きな人にやってほしい。
せめて、作家名くらい正しく読める人に・・・と思うのは客の勝手な言い分だろうか?
本の並び方にもこだわりを持つ理子は、若い書店員たちからすると細かなことばかり注意するウザイ上司だ。
本や店への愛情は人一倍あるのに、人相手となるとなかなか上手くコミュニケーションが取れない。
女だということも影響している。
女だてらに・・・こんな言葉は死語だと思っていたけれど・・・男の側からしたらやはり気に入らないことらしい。
副店長として日々悩む毎日だ。
突然の店長任命。そして閉店宣言。
戸惑う理子だったが、周囲の反応はさらに激しいものだった。
「閉店したくない!」
売上をあげるために出来ることは何か?
理子の熱い思いはやがて書店員たちをも巻き込んでいく。
閉店を知ってからの展開が本当に面白い。
なるほど!と感心する場面も、そうだったのか!と驚く場面も、どれもが読んでいて楽しかった。
電子書籍が当たり前になり、中古書専門のチェーン店もどこにでもある。
書店で新刊を購入する人たちが増えているようには思えない。
だからこそ、書店員の努力が大切なのだと思う。
購入する予定のなかった本をPOPにつられて買ってしまうこともある。
期待通りの内容だと、何となく得をした気分になる。
そんな幸せをくれる書店は、数多くの書店員たちによって支えられている。
読み終わった後に書店に行きたくなる。
そんな物語だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: お仕事小説
感想投稿日 : 2017年3月9日
読了日 : 2017年3月9日
本棚登録日 : 2017年3月9日

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