リーダーシップの旅 見えないものを見る (光文社新書)

  • 光文社 (2007年2月16日発売)
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*リーダーシップの旅*
リーダーシップは結果だ、という主題が最初に出され、これを長々と解説する本かと思っていたが、後半から含蓄のある比喩に飛んだ目の話せない展開になる。
下記に印象に残ったことをまとめたが、終始人としての在り方を考え直させられた。
敢えて一つ挙げるのは難しいが、特に、今の、自分に響いたのは、人間力に関する部分。
リーダーが、この人ならついていきたい、と言ってもらえる人であるか、それは魅力的な人人間力を磨く上で大切なことは、「人の営みに対しての理解と尊敬の念をもつこと」。

この本はどうやったらリーダーになれるかと言うような安易なハウツー本ではない。
リーダーと呼ばれるような人達も生まれながらにそうであったわけではなく、
目指す世界に向けた旅に出る中でリーダーへと成長していく。リーダーとは、という自分なりのリーダー論を考えさせるそんなきっかけとなる本だ。

https://www.amazon.co.jp/dp/433403389X/ref=cm_sw_r_cp_awdb_c3PcAbWHGEVES

◯リーダーとは
リーダーを目指してリーダーになった人はおらず、多くの人とは違う何かを感じ取って行動を起こした人が結果としてリーダーと呼ばれるようになったのではないだろうか。

偉大なリーダーとは、自分の夢を皆の夢であるかのように言い換えられる人だ
ハーバードビジネススクール教授 二ティン・ノーリア

リーダーシップとは人を巻き込み、自発的に動いてもらう、フォロワーを、生み出すプロセス。

◯マネジメントとは
目標達成のため手順を組み、経営資源を配分して進捗を監督すること。上位にいる人が下位に位置する人を統率し、組織化すること。
下位の人は自主的について来ているわけでは無い。

◯リーダー教育の誤り
組織、会社を強くするためにリーダーを育てようとしても、上手くいかない。
個人が会社を舞台にどうやったら羽ばたけ、社会に対して価値をもたらしうるか、その視点でのサポート。
これが結果的なイノベーションを世に送り出せる企業を作る。

リーダーシップを取れるようになった人がTPOV(Taechable point of view)を語り、仕事の一部を後進に任せることで次のリーダーが育つ

◯原動力と信頼
何より信頼が大事。本当にやりたいことが見えてくるのは一定の年齢に達してからでたり、そこでリーダーシップを発揮するためには信頼の土台が必要。

◯信頼の呪縛
何かを守る手段だったものが守るべきものになり、それ自体を問う気持ちが薄れるにつれて、いつしか自分を縛る足枷に変わっていく。貯めた信頼も同じで、捨てられなくなると人は旅への一歩を躊躇する。

ここには、本当にやりたいことへの思いとの葛藤があり、痛みを感じつつ選択する感覚が必ず伴う。
信用を勝ち取りなが自我を押さえつけたダースベイダーと旅に出たルークの違い。

◯夢
夢なんか実現しっこないという人もいるが、実は夢しか実現しない
By Culture Convenience Club (TUTAYA)社長 増田宗昭

「これをしたいという夢は残念ながらなかった、でも幼い頃から『松永真理』でいたかった」
iモード立役者 松永真理

◯不毛な忙しさ Active Non-Action
企業の中核として必要ともされ、それなりに充実感もある。忙しいと自分で思うし時に人にもそうこぼす。

毎日多忙にも関わらず、本当に必要で意義があり、真の充足感をもたらす何かは全く達成できていない状態。
行動しているように見えて実は何の行動もしてないという危険な落とし穴。

その結果、新しいものを創出したり、変革のチャンスが見つかっても意識的に目を背け忙殺を言い訳にしてしまう。

「忙しいから絵が描けないのではなく、描けないから忙しいだけだ」

◯轍
キャリアとは「たった一回限りの自分の人生を運ぶもの」でたり、馬車が去っていった後の轍のようなもの。
その足取りを内省してこそ、これからどう歩むべきか将来を展望できる。
どうしてもここだけは犠牲にしなかったという部分が拠り所、「キャリア・アンカー」である可能性があり、夢を描くきっかけが見つかるかもしれない。

キャリアアンカーが変わるのは自然で、それは年齢・経験により、今まで知らなかった自分に気づくから。

◯人間力
リーダーが、この人ならついていきたい、と言ってもらえる人であるか、それは魅力的な人間であるか、すなわち人間力次第。
人間力を磨く上で大切なことは、「人の営みに対しての理解と尊敬の念をもつこと」
そのためには教養が必要で、人間の英知に触れるのが良い。

◯利他の心
本当に何かをやりたいと思う時、周囲の人は協力を惜しまない。そして協力を得ると、心境の変化が訪れ、自分が前に進めるのはサポートしてくれる人たちのおかげだという気持ちが湧く己と他の境界が曖昧になり、利己と利他が一体化、自分の夢がみんなの夢になる。

稲盛さんの地獄の話。
究極の利己は利他である(マズロー理論)。しかし利他とは相手を手段視することではない。
リーダーが自分たちに奉仕する、尽くしてくれると思える時にフォロワーはついついく。

◯リーダーの責任
Remember, with greater power comes with greater responsibility.
By スパイダーマン
リーダーが授かったものは努力に対する対価であるだけではなく、歩ませてもらったこと自体がギフトで、もらったものを人に、そして社会へ返す、そんな心構えがあればリーダーシップの旅も貫徹できるだろう。

◯黒澤明『生きる』
これは見なきゃ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年10月7日
読了日 : 2017年11月15日
本棚登録日 : 2018年10月7日

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