星野リゾートの教科書

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レビュー : 8
著者 :
boompanchさん  未設定  読み終わった 



星野リゾートは経営課題の解決を教科書に求め、これを忠実に実行することで事業を伸ばしてきた。そのことを、さまざまな旅館のケースで、どの本を参考にしたかという事例を持って紹介している。
ポーターやコトラーといった有名人から入っていくのでとっつきやすい。MBA然り理論と現実は違うとどこかで思っていた、ここまで公言して教科書通りと言い切っているのがすごい、そしてこれは星の社長本人のみならず、社員全員にまで浸透している。
理論は現実と違うというのは、理論通り実践しない者の言い訳に過ぎないと思った。つまみ食いせず徹底的にやれ、というのが非常に大事だと思った。
実体験を踏まえて思ったのは、ビジョンを作るのは経営層の専管事項としながら、旅館ごとのコンセプトは現場従業員に徹底気に自ら考えてもらうというやり方、ビジョンまでボトムアップというのは少し違ったかもしれない。
実際に参考にされた本でいくつか気になった本もあり一冊読んだら何冊も読む本が増えてしまった。

◯教科書通りとは
・どこまでも教科書通り
経営課題に直面すると、その解決に役立つ本を自分で探し、深く読み込み、完全に実践する。
・アートのセンスは無いと思い、直感を信じられるず、経営手法にサイエンスを取り入れようと決めた。
・教科書は思い切った経営判断に勇気を与えてくれる。何も変えられないことが最も大きなリスクを

◯本の探し方
・定石となった理論を扱う古典
・著者の研究者としての知名度を重視(米国ビジネススクールで教える教授陣など)
・数多くの事例から法則を見つけ出し、理論として体系化されている。経営の定石。企業のバックグラウンドを十分調査している。
・課題感を持って探す、目次と数ページでフォット感を探る

◯本の読み方
・課題感を持って本を探し、内容を全て理解する、分からないところを残さない。
・自社にどう活かすか考えながら読み、思いついたことは書く。読書メモは本と離れる事が多いので作らない

◯実践
・理論をつまみ食いせず100%教科書通りやる。3つ必要と言われたらつまみ食いぜず全部やる
み・すぐに結果が出なくても、成果が現れるまで工夫を繰り返す。

◯競争の戦略 ポーター
・団体客から個人客にシフトし、二頭を追う旅館側の負担増。
・ライバルとの競争環境を意識、1. コスト競争力で優位に、2. 差別化、3. 特定領域への経営資源の集中
・その地域にない個人客×高級に絞る、団体客を切ることでコストダウンへ
・競争相手のいない環境を選ぶことで価格面の自由度が上がる、旅館経営は客室数が少なく外資系ホテルが採算化するのが難しく進出してこない。

◯競争地位別戦略 コトラー
・市場トップのリーダー、2番手でリーダーを攻撃するチャレンジャー、2番手だが荒波を立てないフォロワー、そして小さな市場でトップを目指すニッチャー
・トマムは周辺の住民名だたるスキーリゾートに対してフォロワーに甘んじていた。ここから、ファミリー層に絞ったニッチャーへ転身を図る
・日本はスキー経験者人口が85%と非常に高い、しかし今スキーをしているのは若者を中心とした25%、残り60%は手がつけられていなかった。
・ラーダの戦略は需要の拡大、価格競争に陥らない、ニッチャーの独自サービスを取り込む同質化、アルツ磐梯はこちらの戦略で黒字化させた

◯The myth of excellence
・コモディティ化からどう抜け出すか。
・製品やサービスの質に差が亡くなったとき、買いやすい、手間がかからない、安?安全で早いというアクセス面で選ばれる
・予約の電話受付を施設ごとではなく全体で一本化、訓練したスタッフが対応する体制にした。スタッフが予約に割く労力を軽減することで満足度向上にも繋がった。

◯マーケティング22の法則
・売上アップのためラインナップを増やすのは短期的には効果があっても長期ではマイナス。
・見込み客の心の中にただ一つの言葉を植え付けるのが最も強力なマーケティング

◯如何にサービスの収益化するか、サービスの100%保証システム ハート
・製造業同様、サービス業にも保証、すなわち返金システムがあって然るべし
・顧客への安心感だけでなく、従業員の責任感にも繋がる
・サービスに定評がある場合は不要

◯ブランド・エクィティ戦略 アーカー
・短期的な業績にとらわれずに、長期的な視点から資産価値を高めるべき
・ブランド価値を決める要素
認知
知覚品質: お客がどう感じるか
連想: ブランドについて思い浮かべること
ロイヤルティ: リピーターとなってくれること
他のブランド資産: トレードマークなど
・特に大事なのが知覚品質、認知が高いものの知覚品質が落ちていたのが軽井沢のメルヘン式が売りの式場だった。
・ブランドは貯金のようなもので切り崩しているといつか失われる。貯めるのには時間がかかる。

◯ビジョン
・リゾート運営の達人
・社内の自由な議論と積極的提案を重視するのが基本だが、ビジョンに関しては経営陣の専管事項とした。
・新入社員でも分かりやすい言葉で繰り返し伝え続けた。
・到達度は顧客満足度、売上高経常利益率、エコロジカルポイント、の3つで測定

◯ブランチャードの理論、1分間顧客サービス
・どんな製品、サービスを目指すかは、提供する側が自分たちで明確に決めるべき。その上でお客の声を聞き工夫を重ねる。
・星野リゾートでは、ホテルごとのコンセプトを開始時に挙手で集まったメンバーで考えさせる。

◯ブランチャードの理論、1分間エンパワーメント
・辞めていく社員に話を聞くと、その理由の大半は組織に対する不満で、命じられて動くことに疲れていた。
・仕事をどんどん任せ、自分の判断で行動してもらい、社員のやる気を高め、言いたいことを言ってもらうように変えていった。
・大切なのはブランチャードの提唱するステップ通りに実行すること。都合の良い箇所や、すぐできそうな部分だけを抜き出して取り入れようとしてもうまくいかない。
1. 仕事に必要な情報を提供、責任を持って働く気持ちにする
2. 仕事の目的、目標を明確にし、自分で管理する領域をつくる
3. 階層化した組織をやめ、自分たちで統率するチームに変える

◯経営哲学 内村鑑三 後世への最大遺物 デンマルク国の話
・人もし全世界を得るとも其の霊魂を失わば何の益あらんや。人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。
・誰にでも残せるものがある。それは勇ましい高尚なる生涯。
・代表的日本人

・星野リゾートは戦略的な考え方がコンサル会社に近く、コンサル出身者が違和感なく仕事ができる。多様なバックグラウンドを持つ社員が活躍してるのは、教科書に基づいた合理的な経営を実践している影響が大きい
・社長はロジックによって社員を引っ張るが、それを押しつけたことはない。社員に自分で考えさせながら浸透させてきた部分が大きい。

レビュー投稿日
2020年2月17日
読了日
2020年2月17日
本棚登録日
2020年2月17日
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