女優の条件 上 (角川文庫 コ 10-1)

  • KADOKAWA (1997年12月1日発売)
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感想 : 2
5

私が好きな「物語のゴールデンパターン」は

「家族やお金や運に恵まれない主人公が恐るべき困難や試練を自分の才覚を武器に乗り越えて激しい紆余曲折の果てにトップに上りつめかつて自分を見下していた人々に自分の成功を見せつけオホホとにこやかに微笑んでスッキリ爽快エンドロール」

みたいな感じだ。
特に好きなのが主人公が困難や試練をどうやって乗り越えていくか、という部分なのだが、ゴールドスミスの話はその過程がとても綿密な取材に基づいて書かれているのですごくリアリティがあって面白い。
そんな彼女の作品の中で私が一番好きなのがこの『女優の条件』だ。

『女優の条件』は、演技力はピカイチなのに容姿に恵まれなかった女優・ジェーンが、美人でないという理由だけで自分を軽んじ、踏みつけてきた男たちや芸能界というものに復讐を果たすべく、有り金はたいて全身上から下まで丸ごと美容整形して奇跡のように美しい女に生まれ変わる、というところから始まる。
この美容整形して美人になるまでの過程が状況描写・心理描写ともにとてもリアルなので「ブスだから整形して美人になる」というあまりにお手軽で簡単すぎる解決法に「な~んだ拍子抜け~」とは思わない。この、絵空事をそうと思わせない説得力こそが、ゴールドスミスの筆力だと思う。

あと、彼女の話で好きなのが「彼女の小説はいつも主人公が一人じゃない」ところだ。
複数の登場人物のそれぞれのドラマが同時に進んで行き、話の最後でそれらが一つに繋がりラストを迎える、という構成が本当に見事としか言いようがない。それが一番見事に書かれているのが『女優の条件』だと思う。

そしてこの話に登場する三人の女優の名前がイイ。
努力家のジェーン、純粋なシャーリーン、そして『生まれながらの女王』ライラ。
このあまりにハマってるネーミング。もう、見事としか言いようがない。
原題の『Flavor of the Month』も、とてもオシャレでパンチが効いてて、そして実に皮肉ないいタイトルだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 【小説・英米】ゴールドスミス
感想投稿日 : 2009年12月12日
読了日 : 2009年12月12日
本棚登録日 : 2009年12月12日

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