戦後、憲法学者になった久田と若い憲法学者の水島の対話による久田の回想で、とくにルソン戦が中心となる。間に主に水島の調べた戦史が挟まれ、久田の主観と久田のおかれていた状況が俯瞰できるため、戦争への客観的な理解を助けている。
なぜ、久田は憲法学者になったのか。天皇の戦争責任追求には首肯できない部分もあるが、やはり軍隊経験者それも兵卒(久田は最終的には少尉)の証言は重い。
さらに非合理的な精神主義、兵站無視の御都合主義、絶対的な上下関係や死を当然と受け止める風潮。そうした指摘は多いが、それらは『敗戦』の反省にすぎず、戦争の悲惨さをくりかえし述べること自体は、根本的な反省にはいたらないと言う指摘には考えさせられる。
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カテゴリ:
社会/共同体
- 感想投稿日 : 2014年8月14日
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- 本棚登録日 : 2014年8月14日
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