米国先住民の歴史 増補版: インディアンと呼ばれた人びとの苦難・抵抗・希望

著者 :
  • 明石書店 (1992年9月1日発売)
4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
感想 : 4

先住民の立場から、その迫害の歴史と復権へと立ち上がる過程がわかりやすくまとまっている。

『われわれの失う土地に対して市価の数千倍の保証金が支払われるとしても、充分ではない。金がインディアンを産み育てたことはない。インディアンを産み育てたのは土地なのである。インディアンほど、宗教的、伝統的に土地と固く結びついた民はないのである。』

このアメリカ先住民の言葉はアイヌや沖縄をはじめとするすべての民族問題のみならず、福島第一原発の爆発事故で避難生活を余儀なくされている人々にも通じる。

そしてこの本が書かれた1986年から30年たった今でも『(その機会が与えられたとしたら)インディアンがインディアンらしさを保つのか保てるのか、先住民として存在し続けるか否かという問題は、非インディアンが判定を下す問題ではないだろう』ということばは、真摯に向き合わなければならない深い意味をもち、それは逆から言えば30年間表面的にはともかく、少数民族に対する差別と抑圧の構造はかわっていないことを意味している。

さらに付け加えさせてもらえれば、肌の色や言語や文化の違いみならず、たとえ同一民族の中であっても、立場の弱いものたちが少数民族化している現状がありはしないだろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 民俗/民族文化
感想投稿日 : 2015年2月7日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年2月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする