それをお金で買いますか――市場主義の限界

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本棚登録 : 1875
レビュー : 232
制作 : 鬼澤 忍 
bqdqp016さん  未設定  読み終わった 

ハーバードのサンデル教授による経済と倫理観について述べられた本。市場至上主義により何もかもがビジネスの対象となり、不公平と腐敗を招いていることを説いている。白熱教室で学生と討論した時と同じく、数多くのことをケーススタディ的に取り上げており、わかりやすく、かつ興味深く読めた。
「絶滅の危機に瀕したクロサイを撃つ権利:15万ドル、主治医の携帯電話の番号:1500~2万5000ドル/年、製薬会社の安全性臨床試験で人間モルモットになる:7500ドル、連邦議会議事堂前の行列に並ぶ:15~20ドル/時間、成績不振校で本を1冊読む:2ドル」p12
「あらゆるものが商品となってしまったせいで、お金の重要性が増し、不平等の刺すような痛みがいっそうひどくなった」p20
「「早い者勝ち」という行列の倫理には、平等主義的な魅力がある。それはわれわれに、特権、権力、富といったものを無視するよう命じる。われわれは子供の時分「順番を待ちなさい。割り込んでは駄目だよ」と言い聞かされたものだ」p60
「(保育所で、親が迎えに来るのが遅れることについて)この問題を解決するため、保育所は迎えが遅れた場合に罰金をとることにした。すると、何が起きたと思うだろうか。予想に反して、親が迎えに遅れるケースが増えてしまったのである。以前であれば、遅刻する親は後ろめたさを感じていた。保育士に迷惑をかけていたからだ。今では迎えに遅れることを、そのために進んでお金を払うサービスだと考えていた」p96
「われわれは贈り物として受け取る品物の価値を、費やされた1ドルにつき、自分で買う品物より20%低く評価する」p144
「全米退職者協会はある弁護士団体に、1時間あたり30ドルという割引料金で、貧しい退職者の法律相談に乗ってくれるかどうかをたずねてみた。弁護士団体は断った。そこで退職者協会は、貧しい退職者の法律相談に無料で乗ってくれるかどうかをたずねた。今度は弁護士団体も承諾した。市場取引ではなく慈善活動への取組を要請されていることがはっきりすると、弁護士たちは思いやりをもって対応したのである」p172
「(献血を有料化したことによって献血者が減少したことについて)「献血を商品にして利益を得ることによって、自発的な献血者を追い払ってきたのだ」人々が血液を普通に売買される商品とみなしはじめると、献血に対する道徳的責任を感じにくくなる」p175

レビュー投稿日
2018年11月4日
読了日
2018年11月4日
本棚登録日
2018年11月4日
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