以前、“思いやり”について、割と深く考えたことがある。
やさしさを表面的な行為を通じてしか理解しないまま、単に優しい人間になりたいと思ったところで、相手に本当にやさしいと受け取ってもらえる様な言葉や行為はでてこなかった。きっとそこには「やさしいとおもってもらいたい」という期待があった。
「やっている行為はやさしいようだけれど、心はやさしくない」
本にも出てくるこの現象は、よく陥りがちなものだと思う。
本を読みながら、ストーリーの場面場面で考えるのは、どういう気持ちで、どういう行為をしている人を、どう解釈できるか。そしてその観点で本当に「優しくなる」とはどういう事か。
きっと著者も、自分や他人の優しくない側面に、色々傷つきながらも模索し続けて、やっと見えてきたベクトルをこの本に落とし込んでいるんだろう。
人の劣等感、見返りや称賛を求める気持ち、ひねくれや妬み、親から子への虐待と心の傷の関係や、不幸と不安の関係、幸せ、相手の視点に立つこと、精神的な豊かさ。
色んな心の側面を「やさしさ」をキーワードに考える一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
脳・心理
- 感想投稿日 : 2018年7月24日
- 読了日 : 2017年10月30日
- 本棚登録日 : 2018年7月24日
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