小学生の頃、家族と別れることになりおばの家に住むことになった更紗。更紗が遊ぶ公園でロリコンと噂されていたいつも読書している一人暮らしの大学生・文。おばの家での生活にたえきれなくなった更紗はある日、文の家に行くことにする。世間は誘拐事件として報道されてゆくが、事実と真実は違うものであった。大人になった更紗はフミと再会する。そこで二人が待ち受けるものも過去と同じであった。
予想以上に入り込み、一気読みしてしまった。恋でもなく家族でもなく…しかし、二人互い互いに居場所があるという二人の関係。周りは非難するが、一緒にいたいという切実なる思い。こういった二人を今まで見たことがなかったかな…奇跡的な二人の出会い、あり方でした。孤独感、苦しさ、真実とか差別とか心に突き刺さったなあ。誰にも理解されない、思うままに生きれない、更紗と文。その様子、凄まじい筆力。程度はあるにせよ生きづらい世の中になっているのかな。孤独は嫌だとか、弱さである証拠としての一方的な暴力が多い世界。二人の苦しみは誰にでもふりかかるものかもしれない。圧倒的な一冊であった。今後もこの作家さんからは目が離せない。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年9月18日
- 読了日 : 2019年9月16日
- 本棚登録日 : 2019年9月18日
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