地獄変・邪宗門・好色・薮の中 他七篇 (岩波文庫)

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本棚登録 : 490
レビュー : 66
著者 :
葡萄森兄夫さん 小説・文学 ( 国内・近代 )   読み終わった 

 短編11編を所収。これら作品群は、芥川龍之介の「王朝もの」と称されているという。

「地獄変」。常に究極な表現を追求するマッドな絵師・良秀が、地獄の絵図の発注を受ける。そして、写実的にデッサンしたいので、若い娘が牛車ごと炎に包まれる様を見たいと、大殿様に所望。ところが、用意された牛車で焼かれるのは、絵師の娘、美しく気立てのいい最愛の娘なのであった。この場面、さすがの絵師も筆を取ることが出来ぬ。絵師の狂気というよりも、犠牲者に絵師の娘を選んだ大殿様のほうが残酷と感じた。
その他、絵師がアトリエに、諸々の画題のために、ミミズクやら蛇やらを飼育しているところは、なんだか楽しい。少々江戸川乱歩な味わい。

「邪宗門」は、摩利信乃法師、沙門(出家修行者)という者が登場。摩利信の教え、は邪教らしきもので、その伝道者らしい。(十文字の護符を掲げることもあり、キリスト教らしくも思われる。)沙門は魔術めいた技を繰り出し、京の人々を驚かせる。中篇。伝奇ものなのか? 話の行方がわからぬまま、未完で途絶。 

「藪の中」は、少し高貴らしき女とその夫が、森の中(藪のなかで)強盗に襲われる。女は強姦され、男は殺される。その顛末、その事実を、関係者の証言を併列させて描く。だが、関係者、当事者の語る「事実」は異なっており、何れが「真実」なのかわからない。構成の巧みさが卓抜。

「二人小町」は、軽妙なコメディ。小野小町のもとに死神の遣いが登場。黄泉の国に連れ去ろうとする。が、小野小町はまだ死にたくない。そこで、死神の遣いを騙し、もう一人の小町(玉造の小町、不美人)を代わりに連れていくよう画策するのであった。

その他、「好色」、「運」「袈裟と盛遠」などを所収。

レビュー投稿日
2018年4月23日
読了日
2018年4月21日
本棚登録日
2018年3月25日
3
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