パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)

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本棚登録 : 532
レビュー : 49
著者 :
葡萄森兄夫さん 小説・文学 ( 国内・近代 )   読み終わった 

主人公の人見廣介は、自分とうりふたつの富豪・菰田になりすまし、莫大な資産を投入して絶海の孤島を奇抜な芸術の島に造り変える。それが「パノラマ島」。冒頭の頁に、M県ちかくI湾にある島、という記述がある。そのため私は、以前伊勢湾を渡るフェリー航路から遠望したことのある「神島」の風景が目に浮かんだ。
さて、逝去した富豪にする変わるトリックや下準備も詳述され、これも主題のひとつ。なのだが、奇想の建設実現に邁進する人見の暴走ぶりが痛快。この奇想こそ乱歩の描きたかった本当のテーマのように思える。きてれつな人口風景の意匠も面白いのだが、やがて登場する「キャスト」たちの存在が笑える。どうやら踊り子みたいな娘を大勢雇用しているらしい。彼女たちはどういう気持ちで島の「アトラクション」を運営しているのかな、と考えるとおかしかった。
そして終盤、探偵・北見小五郎なる人物が登場。謎解きを始める。いつしか人見が行き突くところまで暴走し、奇想を極めることを期待していただけに「小五郎、余計なこと無粋なことしないで!」という心持ちになったのであった。

もう1編「石榴」を所収。乱歩作品には、変装、なり替わりが頻出するように思う。自身にもその願望が根強いのかもしれない。

レビュー投稿日
2018年1月5日
読了日
2017年12月16日
本棚登録日
2017年12月13日
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