白痴 (新潮文庫)

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本棚登録 : 2642
レビュー : 269
著者 :
葡萄森兄夫さん 小説・文学 (国内・戦後)   読み終わった 

戦中戦後という特殊な時代状況が舞台であるとはいえ、それにしても、男と女の造型、息遣いがとっても生々しい。それまでの近代文学では読んだことのないもので、刺激的であった。
 7編の短編を収録。「いずこへ」では、女に付随する所帯じみた感じのうっとしさが、描かれる。わかる気がする。一方、表題作「白痴」では、言葉もろくにしゃべれず押入れに潜んで脅えている女に、男はいじらしさを覚える。
男の傲慢さがあり、優しさがある。
男が女に対して甘い愛の言葉をささやく、という恋愛小説よりも、自分は、こうした、いわば女に媚びない、つべこべ言わせない感じのほうが、好みのようだ。
以前モーム『月と六ペンス』を読んでいたく気にいった。ストリックランドのぶっきらぼうで豪放磊落な生き方と、どこか同じにおいを感じ、“そうか僕はこういう世界が好みなのか” とふと思い至る。そういえば、同じく好んで読んできた中上健次の作品世界も、少々その傾向があるわ。

 ドストエフスキー「白痴」読了後、“はくち繋がり” で読んだ。 

レビュー投稿日
2017年9月30日
読了日
2017年9月25日
本棚登録日
2017年9月19日
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