遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

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本棚登録 : 1226
レビュー : 158
制作 : Kazuo Ishiguro  小野寺 健 
葡萄森兄夫さん 海外文学   読み終わった 

え!どういうこと!? もしかして、そういうこと!? 読み終えて「 真相 」に慄然とする。
カズオ・イシグロ2冊目なのだが、やっぱり手強い。油断して読むと、読み損ねてしまいそう。一筋縄ではいかない。

英国で暮らす悦子が大戦直後の長崎での日々を回想。佐知子と万里子の母娘との邂逅が語られる。母佐知子は、アメリカ人の男と米国に行くことに将来の希望を託す。万里子は常に不穏な気配に怯えている。その後、万里子が可愛いがっている子猫を、母佐知子は河で「 処分 」する。鮮烈な場面だ。読んでいて息詰まる思いであった。
上の図もそうだが、万里子と佐知子のキャラは濃厚。その一方で「主人公・語り部 」である悦子の人格描写がどこか希薄。人格の核が無いように感じてられて、なぜだろう? と思いつつ読み進めていた。

そして終盤。

「 あの時は景子も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの 」

え!え! もしや? と思い至る。
今回も「 信頼できない語り手」 ?

そう言えば、冒頭近くに

「 こういう記憶もいずれはあいまいになって、いま思い出せることは事実と違っていたということになる時が来るかもしれない。 」 とある。

悦子 と 佐知子。そして、万里子 と 景子…。
悦子の「 縄 」。そして、連続幼児殺人事件の気配…。 うーむ。

レビュー投稿日
2019年4月17日
読了日
2019年4月17日
本棚登録日
2019年4月11日
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