海に生きてきた男マアロウが、若き日の初めての長途航海の思い出を語る。曰く、
(航海の中には)「人生の絵解きとなるように定められた/航海がある」。
ボロボロの老朽帆船ジュデイア号は、ロンドン・テムズ河口を発ち、タイのバンコクを目指す。マアロウ青年は、海の男デビューとなるこの航海に、晴ればれとした思いで臨む。
しかし、航海は苦難の連続。手始めは強烈な暴風雨。その後浸水が始まり、以後毎日、終日の排水作業。
さらに積荷の石炭が自然発火して燻り始め船舶火災。懸命の消火作業を続けながらの航海。だが、粉塵爆発で船は大破。映像化すればさも壮絶だろう場面の連続だ。
その後マアロウら乗員は小ボートに分乗して退避、漂流。
それでも、若きマアロウは、救命ボートながら 初めて船長を任されたことが嬉しく、誇らしくてならない様子。
若き日の武勇伝を回顧する語り口もあり、如何なる修羅場でも、楽観的で恐いもの知らず。悲惨さと無縁の明るく爽快な筆致。なるほど「青春」である。(そういうことか?)
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学(古典)
- 感想投稿日 : 2016年6月8日
- 読了日 : 2015年2月27日
- 本棚登録日 : 2015年2月27日
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