完本・太平洋戦争 (二) (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1994年1月1日発売)
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太平洋戦争約四年の道のりを、当事者たちの様々な文書によりつづる全四巻の記録。
第二巻はガダルカナル攻防戦からラバウル・ニューギニア・マリアナ・インパールと、攻勢限界点を超えついに押し戻されてゆく各地の苦闘をつづる。後退が始まると途端に目立つのは、貧弱な兵站・物資の欠乏、戦略思想の不足に戦争指導のまずさと、日本の抱える根本的な問題の数々。一世紀近く経っても容易に想像できるその姿は悲しみでしかない。

甲乙つけがたい文書の中から、この巻で選びたいのは、ビルマ戦線の落日を描いた"月白の道"。始まりの現地指揮の不統一から、終盤に大本営から現地へ送られる命令電報の酷さまで、今の日本にも通ずる姿に、怒りよりも悲しみが勝る。なぜ責任を取らず、部下に犠牲を強いる(しかもあくまで部下が自分で決めるように仕向ける)卑怯な人間が高級幕僚なのか。そういう人しか上にあがれない、もしくは組織の中ではそういう人にならざるを得ないのが、今も昔も日本の変わらない病理なのだろうか。

<収録内容>
・第一次ソロモン海戦従軍記者記録
・戦艦金剛ガダルカナル砲撃記
・ガダルカナル機動部隊決戦記
・第三次ソロモン海戦駆逐艦夕立奮戦記
・ルンガ沖海戦記
・伊十九潜空母ワスプ撃沈記
・ガダルカナル撤退作戦記
・山本五十六連合艦隊長官回想記
・キスカ撤退作戦座談会
・ムンダ・アルンデル戦日米回想録
・ベラ・ラベラ沖酸素魚雷活躍記
・タラワ玉砕生還記
・ラバウル航空戦記
・ラバウル籠城記(戦場移行後の持久戦記)
・ビルマ作戦の全貌
・北ビルマ、ミートキーナ防衛戦記
・インパール作戦の全貌
・東部ニューギニア戦記
・ニューギニア、アイタペ攻防記
・マリアナ沖海戦記
・空母大鳳の最後
・サイパン島玉砕
・竹槍記事顛末

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2022年6月17日
読了日 : 2022年6月16日
本棚登録日 : 2022年5月7日

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