歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか

著者 :
  • 毎日新聞出版 (2020年8月3日発売)
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感想 : 26
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「正義」「当たり前」「普通」というのを私は闇雲に信用しない。

本書は、
「あなたは、自分や自分の家族が無差別殺人を犯す可能性があると思いますか」
という問いかけから始まる。

私の答えは「はい」だ。
可能性、という話なら、ゼロではない。

ただ、それだけの理由による返答だが、
本書によると、「そう聞かれて、はい、と即答する人はほとんどいないだろう。」
とさらりと書かれている。(いやいやいや

…私と、現代日本社会との乖離を再確認した感じではある。w

この冒頭をもってして、、余談だが、私は何十年かぶりに実父とのやりとりを思い出された。

まだ未成年の頃だったと思うが、
親父と、何か問答をしていた際、
(友人となる資格のような話だったと思うのだが)
親父からの問いかけに「まあ、なかには犯罪者や反社もいるからね、、一概には言えない」みたいな返しをしたら、逆上されたことがあったのだ。「当たり前だろう!!」と。

親父からすれば、犯罪者や反社は前提確認するまでもなく除外されるものであって、
何を言うんだお前は!
という感じだったのだとは思う。

ただ、私からすれば言葉によって議論していたのに、
言葉によって定義していないことを当たり前のように語られる理不尽さに憤慨した。それに犯罪者や反社であっても人間は人間なのだ。まるで存在しないかのごとく扱うのもどうなんだと。

あと、表に出ている人格が仮初なことなんて死ぬほどある。それなのに、「当たり前だろう」と返され、父親の現実社会の認識の甘さというか、視野の狭さにも愕然とした。


一般的に言えば、
本書の問いかけのように、
親父の独断のように、
当たり前、と思い込むたくさんの前提条件や思い込みは世の中に溢れているだろう。

しかし、看守と囚人の実験しかり
普通と異常の境界しかり
何が正常を狂わすのか?
薄氷のような日常の尊さをわかっていない人が多すぎるのではないか。
そう思えてならない。

私のように日常はいつでも狂気に変わりうる、と思っている人には本書はたいくつ(書いてあることをただ読むだけ)だろうが、
一般的に良識ある多くの人には是非読んで欲しい良著である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年11月14日
読了日 : 2020年11月14日
本棚登録日 : 2020年9月8日

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