海と毒薬 (新潮文庫)

3.65
  • (577)
  • (912)
  • (1385)
  • (102)
  • (13)
本棚登録 : 6803
レビュー : 792
著者 :
シャクナゲとエビネさん 国内小説   読み終わった 

 遠藤周作氏の作品の魅力は、人間の本質を深く掘り下げていることに加えて、物語の構造が頑丈で劇的で推進力に富むことにあると思います。その魅力に読者はぐいぐいと引き込まれてしまいます。

 この作品でも、外国人捕虜の生体解剖という戦時下での異常な事件を中心素材にして、権力欲や嫉妬心に駆られた人たちのエピソードを積み重ねつつ、人間の罪の意識や残虐性について氏は深く掘り下げていきます。「私」が気胸の治療を受ける町医者の日常の話で始まり、そこから町医者の過去をさかのぼり複数の視点を移動して広がっていく物語の劇的な展開も見事です。

 暗く重苦しいテーマのこの作品を一気に読ませてしまう手腕はさすがとしかいいようがありません。

レビュー投稿日
2016年6月14日
読了日
2016年6月14日
本棚登録日
2016年6月14日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『海と毒薬 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『海と毒薬 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする