人生論ノート (1954年) (新潮文庫)

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レビュー : 4
著者 :
caponyanさん  未設定  読み終わった 

何度も読み返したい本であり、ここ何年かで最も影響を受けた書の一つ。
哲学者である三木清の哲学書ではないが、代表作と言えるほど示唆に富んだ、力強い思想の根源が書き出されているように思う。三木の虚無の哲学に通底する価値観、形成こそが生きることであるという強い信念、それらは哲学書のように客観性を厳密に指向した論証の過程を詳細に記したものではないが、結論が煮詰められ凝縮されていると感じる。ゆえに何度も考えさせられる深さを持っている。
戦前に著された論文集であるが、そこに描出された現代人の虚無性は、返ってこのSNSと承認欲求と精神の退廃の蔓延る21世紀の今こそより顕著に現れているのではないかと思う。ゆえに、僕も含めて迷える現代人にこそ刺さる、或いは救いとなり得るように思う。
尚、所々に三木が若い頃に傾倒したパスカルの影響が見られ、形而上学への僕の個人的な印象が少し変わったので、パスカルのパンセを精読してみたくなった。
明治からの京都学派はこの三木によって大成されるべきとさえ思うけれど、不当な投獄によって、出征して戦争を経験した唯一の哲学者とも言われる三木清の後半生が失われたことがどれほどの知の損失であるか、計り知れない。

レビュー投稿日
2019年2月5日
読了日
2019年2月5日
本棚登録日
2018年11月22日
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