火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房 (2014年8月22日発売)
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本棚登録 : 1758
感想 : 275
5

これほどジャガイモの栽培ばかりしているSF小説がかつてあっただろか。

火星探査ミッション中に災害に巻こまれ、幸か不幸か生存してたった一人、火星に取り残された主人公。
助けもこないし、水も食料もおまけに酸素までもそんなにない。
確実に人が来るであろう次の火星ミッションは4年後。
彼はその日まで生き延びることはできるのか?

手に汗握る宇宙サバイバルが描かれているます(主人公のキャラと文章はユルいけど)
こりゃもう一巻の終わり、といった中で、限られた資源を最大限生かして、生存の道を探ります。
先述のジャガイモ栽培に始まり、酸素の確保、水の生産etc
一見、「趣味の園芸」っぽいストーリーが続きますが、それ以外はいたってハードSF。
特に、地球との通信手段を確保するために彼がとる行動は、現代の宇宙ファンにとっても拍手喝采です。

物語が進むにつれ、主人公だけでなくNASAのスタッフの奮闘も強調されます。
「限りある資源を最大限生かす」がサバイバルものの醍醐味ですが、主人公だけでなくNASAスタッフまでも、ありとあらゆるものをいたるところからかき集めて彼の救出に取り組む姿が、映画「アポロ13」を超えるスケールで繰り広げられます。

新しい星でうまくやっていけるかな。
遠い空の向こう、君は何を思うの。
たぶんできはずって思わなきゃしょうがない。

どこかのワンルームのディスコみたいになっちゃいましたが、チャレンジ精神とあきらめない心に感動する、宇宙ファンのための作品です。
マッドデイモンって誰?って人にも、かなりおすすめ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2015年8月18日
読了日 : 2015年8月18日
本棚登録日 : 2015年8月18日

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