モノを個人で所有して、不要になったら使い捨てる消費生活の代わりに、ひとつのモノをみんなでシェアしあう新しい消費の形「コラボ消費」について洞察しています。
使い捨てから脱却するように、一つのものをシェアするという考え方。
この考えは、別に新しいものではなく、大量消費主義がはびこる以前からの古くからあるもの、としています。ただ、大量生産がすすむにつれ、シェアをする相手を見つけるコスト(面倒臭さ)よりも、モノを手に入れるコストを下回るようになったため、人々は個人主義を選ぶことになったのです。
ところが情報技術の発達により、シェアする相手を見つけることがより簡単になりました。そして、シェアすることを貧乏くさいのではなく「かっこいい」ことにすることも可能になりました。結果、カーシェアや物々交換等などの新しい形のシェアが生まれるようになったのです。
一目見てエコと感じられるコラボ消費のですが、著者自信はコラボ消費の環境負荷的な側面は、あくまでも副産物であると割り切っています。
人々をコラボ消費に掻き立てる動機は「みんなで何かする」ことを美徳と捉える世代の増加であることが伺えます。
コラボ消費を進めるために、モノづくりそのものも大きな転換が必要になります。商品を設計するデザイナーは、モノそのものだけではなく、それを共有するプラットフォーム(仕組み)までデザインすることが役割とされるようになりました。
思うに、コラボ消費はソーシャルメディア等のWeb2.0的な情報技術がリアル世界を変えつつある例ではないでしょうか。優れたITサービスは、ネット空間にバーチャルな世界を作るものではなく、リアルな世界を反映させるものだというこっとはこれまでのSNSの成功事例が示しています。そういったリアル世界と繋がったウェブが十分な規模に発展したっことで、今度はリアル社会への反映が容易になったのではないでしょうか。
最近はやりの断捨離にもつながるコラボ消費、自分も取り入れてみようかな、なんて思わせてくれます。
ITが世界を変えた例を分析した価値ある一冊です。
- 感想投稿日 : 2013年9月15日
- 読了日 : 2013年9月9日
- 本棚登録日 : 2013年9月15日
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