情熱シリーズ一巻です。
何不自由なく育った久保佳人が親を助ける為、極道組長の愛人になったのは17歳の時。20歳も年上のしかも自分とは違う世界に生きる同性の慰み者となって10年、それなりに可愛がられてきた佳人が初めて組長に逆らい極道達に制裁を加えられ、虫の息になっていたところを救ったのが、青年実業家黒澤遥だった。
庭の蹲に細い美しい身体が押さえつけられているのを見た瞬間、心惹かれたのでしょう。
縄で何度も打たれた背は裂け、意識は遠のき、それでも見ず知らずの小娘の為に逆らい続ける白皙の美貌の青年は意志を曲げない。
両足を折って身一つで門の外へ出せと組長が言い放った瞬間、
「待って下さい。」思わずそう言った遥。
結局一本で佳人を引き取る事になった遥でしたが、自分の気持ちに素直になれずに冷たく当たってしまう。
それでも一度佳人の身に何かが起これば全力で守り抜くのですが。
普段の態度との落差が佳人への想いの深さなのか、時に行き過ぎてしまい佳人を困惑させています。
二人とも重い過去を背負って生きていますが、何があっても折れない矜持をお互いに持っています。
もう少し素直になれば楽に生きられるのに、とも思いますが。
佳人が儚い美しさならば遥は揺ぎ無い強さを備えた美しさがある。
とても魅力的なカップルだと思いました。
佳人にちょっかいをかけた取引先の山岡物産の社長の存在も面白そうですね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
遠野春日
- 感想投稿日 : 2011年10月16日
- 読了日 : 2011年10月16日
- 本棚登録日 : 2011年10月16日
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