佳人の忍耐強さは偏に遥への愛情からきていました。
最後まで耐え抜く佳人に胸が痛かった。
弦は余りに強く張ると切れてしまう、そんな状態の佳人が可哀想で堪らなかった。
「週末どこへ行きたい?」と聞かれて嬉しさの余り言葉を失った佳人が選んだのは温かい宮崎の日南海岸。
初めての二人きりの旅行に幸せ一杯だったのに神様は酷い仕打ちを佳人に与えました。
子供を庇った遥は記憶喪失になり、佳人の事が分からなくなるのです。
時間をかければ思い出してくれると、自分に言い聞かせて耐えていた佳人に追い討ちをかけるように事故を知ったと昔の恋人田村敦子という女性が尋ねてくる。
それだけでもショックな佳人だったが、遥は家政婦を断り暫く彼女に家のことをしてもらうと決めてしまう。彼女からも泊り込みで世話をしたいと言い出され「彼が好きで愛している。ずっと忘れられなくてこの歳になるまで独り身で働いてきた。安易に結婚しないでよかった。」と告げられた佳人。
いよいよ自分が出て行こうと決意して遥に申し出れば「いつでも好きなときに出て行ってくれ」との答えが。
佳人が折れてしまわなかったのは執行と東原の支えがあったからでしょう。何より行き場のない佳人を直ぐに自分のマンションへ誘ってくれた執行の優しさがあったから。
女というだけで当たり前のように優先権を振りかざす田村という女の存在が女性として分かるだけに嫌悪感が拭えませんでした。
全て計算ずくだった彼女が遥の記憶が戻ると知ると置手紙を残して去って行った潔さには感服ですが。
佳人の耐え抜く強さに魅了されました☆
- 感想投稿日 : 2011年10月16日
- 読了日 : 2011年10月16日
- 本棚登録日 : 2011年10月16日
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