あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520))

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本棚登録 : 626
レビュー : 101
制作 : 上田 真而子  岩淵 慶造 
castagnaさん  未設定  読み終わった 

ずっと課題だった本をようやく読了

この時代のユダヤ人ものは、どれを読んでもつらすぎる。
けれども、あえて繰り返し読まねばと思う。

今回、気にとまったところは、「フリードリヒ」という名前の連呼。その名が印象に残るように書かれているのだと思う。それに対して「ぼく」には名前がない?

フリードリヒ=ソロモン

ぼくの父は失業していて、家計に苦しんでいた。(父は共産党員であった)
一方フリードリヒの父親は公務員で安定した仕事で、多少の余裕があった。~祭りのエピソード

時代が流れ、ぼくの父はナチス党員となることで、職を得る。またそこで得た情報でフリードリヒの父に国外へ逃げることもすすめる。
しかし一家は逃げることなく、ドイツにとどまり、悲惨な運命へと流されていく。

先日レイ夫妻がパリから脱出してアメリカへにげおうせた話を聞いたばかりだったので(それもかなりの幸運があったからのたまものだったとは思うが)、早い時期に国外へ逃れたユダヤ人の決断を思う。
きっとレッシュとの裁判で、アパートにいられることになったのが不運だったのかもしれない。
あの裁判長は正しいことをしたのだけれども、皮肉なことになってしまったのかもしれない。

ポグロム(破壊)は、ぼくにとって奇妙な体験であると同時に、当時の普通のドイツ人が巻き込まれていく様子がみてとれていっそう不気味。
意識なく、自覚なく巻き込まれていく様がよく描かれている。

いずれも、時の流れとともに、様子が変わっていくことがよくわかる作品。

著者は当時の経験をどこかに残したいと思ったのだろう。フリードリヒにこめた、ユダヤ人全体を残したかったのだろうと思う。

三部作
「ぼくたちもそこにいた」
「若い兵士のとき」

レビュー投稿日
2017年8月27日
読了日
2017年8月27日
本棚登録日
2017年8月27日
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