明治中期頃から現代までの、ここ百年の住宅の間取りの変遷を追ったもの。間取りから、家の在り方、生活スタイル、社会、人々の価値観の移り変わりを読み取る。
「家を建てる」から「家を買う」へ。住むために家を建てていたのが、すでにある住宅の姿に合わせて人が住むようになった。
台所革命と女性の社会進出。
間取りから室取りへ。用途限定的な部屋の取り方への変化。子供の自主性を育てるための子供部屋の独立。様々な用途に使える和室の消滅。
などなど。
戦争の前後でいかに人々の生活、価値観、そして家の在り方造り方が変化したか…ひとつひとつの時代を作ってきた人々に思いを馳せる。戦火で壊滅し、また戦後も工業(出稼ぎ、核家族)や情報が集中した都市においては特に変化が激しかったと推測される。
現代の家として、機械生産化された住宅の問題点を克服しようとして造られた住宅の例が挙がっている。100%国産材、5寸角の中目材、躯体内の通気…などがキーワード。機械的に生産されたものを安全と思い、窓をあけて虫や花粉が入ってくるよりも閉めきって無菌状態にしておくのが健康住宅であると思い込んでしまう現代人に警鐘を鳴らしている。筆者の思いが読み取れる。
2004年初版発行。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年12月31日
- 読了日 : 2012年12月31日
- 本棚登録日 : 2012年12月31日
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