ある明治人の記録 改版 - 会津人柴五郎の遺書 (中公新書)

著者 :
制作 : 石光真人 
  • 中央公論新社 (2017年12月20日発売)
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本棚登録 : 290
感想 : 23
5

心に深くしみる名作。武士の誇り高さを感じるとともに、この精神性を失ってしまった日本を見て、果たして維新は本当に良い選択だったのかと、疑問に思う。
厳しさの中にも、深い愛情がある柴家。苦境の中でも家族や仲間を思いやる場面は、涙なくしては読めない。

歴史は常に勝者の側から書かれていることを思い知らされた。維新の歴史は、薩長の活躍ばかり描かれているため、会津藩は旧体制にしがみつく抵抗勢力だと誤解していた。

本作は、古い文体で書かれているが、文体に慣れていなくても、音読すると、読みやすい。
また、柴翁の幼少期の回顧録として書かれており、所々に、翁幼少期の可愛らしいエピソードが盛り込まれているため、読んでいて飽きることがない。
日本人として読んでおきたい一冊だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月21日
読了日 : 2020年8月21日
本棚登録日 : 2020年8月21日

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