冬の夜ひとりの旅人が (ちくま文庫)

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本棚登録 : 373
レビュー : 19
制作 : Italo Calvino  脇 功 
cerisaieさん ヨーロッパ   読み終わった 

「あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている」という出だしをどうしても引用したくなる、イタリア小説。

以前レビューした"Cloud Atlas"について、作者のMitchelが「カルヴィーノの『冬の夜ひとりの旅人が』を読んで構成を思いついた」と言っていたのが読むきっかけになりました。有名な方ですが、私ははじめて読みました。

なんとなく、難解な作品を書く方なのかなと思っていました。この本も、10もの長編小説の出だしだけが提示され、「あなた」と呼びかけられる「男性読者」が「女性読者」に導かれたり惑わされたりしながらそれぞれの小説の続きを探していくメタフィクションだと聞いて、「うーん、なんだか難しそうじゃね?」と思っていました。

でも、実際読んでみると、ユーモアがあって、テーマも決してわかりにくくなくて、でも思いがけない場所へ読者を引っ張りまわす強さがあって、結構夢中で読みました。
出だしだけの小説たちもどれも面白いし(それぞれ誰かのパロディらしいけど、結構わからなかった…)、男性読者の「小説の続き探し」はどんどん世界をまたにかけたおおごとに発展していくし、いや、背伸びとかでなく普通にすごく面白かったです(←語彙が貧弱ですみません)。

考えたら、小説とは、本を読むとは、というテーマを、二人称で語りかけられながら追っていくわけですから、本好きに取っては切実なことで、興味を持たずにはいられません。

ちなみに"Cloud Atlas"とは全然似ていません。Mitchelの言いたいこともわかるけど。月がきれいだったからプリン食べたくなっちゃったくらいの関連性ですかね。

カルヴィーノのほかの小説もぜひ読んでみたいと思いました。読書を愛するすべての人におすすめ。

レビュー投稿日
2010年7月4日
読了日
2010年7月4日
本棚登録日
2007年7月7日
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