副題 現代に生かすブッダの智慧
松原泰道と五木寛之の対談本。
松原泰道さんは、既に2009年に101歳でご逝去されていらっしゃいますが、生前は臨済宗の高僧。
この対談が発表された段階(2008年12月)では、東京港区の龍源寺の住職でもあったようです。
対する五木寛之氏は、「青春の門」など数々の文学作品を発表されている日本の文壇を代表する作家先生。
この二人が、ブッダという人物の生き様やブッダという人間が伝えたかったメッセージについて語り合うという趣向の本。
仏教という宗教について話すのではなく、ブッダという個人にフォーカスを当てて話が進められていくという点が素直にコトバが入ってくる感覚で読めた理由かも知れません。変に宗教っぽさがない、というか。
仏教というか、ブッダの教えについては、スマナサーラ師や小池龍之介氏の本などを何冊か読んで、ちょっと基礎知識があったので、このお二人の対談は、とても面白く読めました。
ブッダが悟りを開くに至るまでの人生、その時代背景や彼を巡る様々な出来事、その中で感じたであろう葛藤などが語られていくわけですが、なるほど、そうした周辺知識を得ることで、余計にブッダの教えの真髄が見えてくるような気がしました。(あ、いや、全然悟れていないですけどね。)
思ったのは、ブッダの教えに忠実にあろう、と思う方々のおっしゃることは、当たり前ですがみなさん似通ってくるものですね。
特に「無常」というコトバについては、このお二方ともとても詳しくお話になられていました。
我々は、無常というと、ややネガティブな印象を持ってしまいがちですが、そうではなく、あらゆるものが常に変化していることが、当たり前である、ということが、「無常」なんですよね。
だから、決して悲観的なものでもないし、概念的なものですらない。
ただただ、あるがまま。それが、「無常」ということなんだと、ワタシは理解しました。
もっともっとたくさん、いろんなコトバがありましたが、この「無常」の理解こそがブッダの教えの根底なのではないかと思った次第です。
勉強になりました。けど、もっともっと、勉強しなくちゃ。
- 感想投稿日 : 2011年9月16日
- 読了日 : 2011年9月16日
- 本棚登録日 : 2011年9月16日
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