カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら (角川新書)

  • KADOKAWA (2018年10月6日発売)
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 職場にアスペルガー症候群の方がいて、この暖簾に腕押しの感じがどうにかならないかと手に取りました。そういう方々と接するとなんだかいつも置いてけぼりにされるような孤独感に苛まれてしまう。カサンドラ症候群の原因はアスペルガー症候群だけじゃない、とのこと。不安型愛着、回避性愛着他も原因になる。
 「オキシトシンの分泌が我が子やパートナーへの愛情を維持する役割を担っている。人間の男性は自分の遺伝子を残すために多くの女性とセックスをしたがるという理論が堂々とまかり通っているようだが、最近の研究では、人間の男性は特定のパートナーから愛着の恩恵を受けているということが裏付けられている。その証拠に離婚した男性の寿命は10年短くなる」、とある。当の男性陣は自覚あるのかな。これが事実であれば喜ぶ女性陣も多いだろう。良く言われてますがハグするだけで幸福な気持になるのはオキシトシンの効果なんですね。大事。
 対立する夫婦間で、アスペルガー傾向の旦那に妻の方もかなり強迫的に自分の拘りに拘泥し、ごく些細な問題まで問題視し、夫を異物扱いする場合もある、という記述には吹いてしまった。様子が目に浮かぶ。
 「アスペルガーや回避型愛着の夫には指導が必要」の項において、「病気で寝ている妻の大変さより自分の不自由さを考えてしまう。「こんな時に病気になりやがって」「病気で寝ていられていいな」」…事情の分からない人が見ていたら空いた口が塞がらないだろう。そして、凄くこの感じ、分かります。彼等に愛情が無ければ彼等を改善の方向に導いていくのは到底無理でしょう。知識の無い人なら人間性に疑問を抱き距離を置いてしまうところです。そして知識があって分かっていてもその言動にガッカリさせられる事が多くやはり距離を置いてしまう。
 アスペルガー症候群の旦那とその妻、お互いの努力が必要。アスペルガー症候群の人をカウンセリングなどに易々と連れて行けるのだろうか。頑なに拒否されて終わる事も多々あるんじゃないかな。
 夫婦関係であればお互い惚れて結婚に至っているわけで関係修復に至る場合も考えられるが、職場だと難しように感じる。普段の言動で好感が持てなければ、関わらないという選択をする人達が多そうだからだ。放置され周りに人がいなくなる。それこそ異物扱いされて終了。非常に難しい問題だ。
 ただ良かった点は、定型発達の人達にも取り入れた方が良い点は多々あった。特に良かったのは、相手が自分の安全基地になってもらいたいならまずは自分が相手の安全基地になる、お互いの関係性を築くにはお互いに水をやり合って手入れをして育てていくこと。居てくれることは当たり前じゃないと胸に刻みました。
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年11月25日
読了日 : 2024年11月25日
本棚登録日 : 2024年11月25日

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