重苦しい戦時中の空気がそのまま描かれた作品。読んでいて息が詰まりました。人体実験のシーンなどはあまりに描写が細かく読んでいて貧血を起こしかけたので少し流しました。主だった登場人物は勝呂、戸田、看護婦(名前は失念)でしたが、三人は同じ戦時中に行き、同じ場面をそれぞれ違った見方で見ています。目を背けた勝呂、感覚の麻痺した戸田、ゆがんだ優越感を感じる看護婦。人は極限状態に置かれた時、本当に無力なんだ…と感じました。ヒルダ夫人を通してキリスト教的な神の価値観も描かれていますが、そこにある現実を素通りしていく、無垢で残酷な神にも見えます。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年7月22日
- 読了日 : 2012年7月22日
- 本棚登録日 : 2012年7月22日
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