見慣れた日常の中で、当たり前にそばにあるものが静かに崩壊していく様を切り取った12編。
あるとき突然に訪れる悲しみ。しかしその予兆はきっとどこかにあるはず。それを感じ取り、いつか悲しみがぶつかってくる用意を心のどこかで行っているのだと思う。
この短編集を読んでそう思ったとき、著者の他の作品で出てきた「物事には準備する時間は与えられていない」という言葉が思い浮かんだ。全く対称的だが、どちらの言葉も正しいと思う。予期していながらも回避する事が出来ず、じわじわと悲しみが増していくのをただ眺めることしかできないのは、それはそれで辛い。せめてそれが少しでも早く癒えてくれるのを願うだけである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
恋愛
- 感想投稿日 : 2014年1月19日
- 読了日 : 2014年1月5日
- 本棚登録日 : 2014年1月5日
みんなの感想をみる