生物学者の書く単なる生物の本ではなかった。生命哲学っていうのかな。
神秘とも言える生物の精巧なシステム。うまくできている。でき過ぎている。そのシステム、メカニズムについては説明がつくのだが、なぜそのシステム、メカニズムが存立しているのかについては説明しがたい(だからこそこういう本がある)。
クオリア、脳科学、アフォーダンス(ときどき出くわすキーワードだけれどイマイチつかめていない)、の話題にまで達した。文脈が重層的。
著者についてググると構造主義生物学の支持者のひとりとのこと(ウィキペディアより)。言われてみれば文章全体がどこか構造主義的だったなあ。
生物学を主軸にして未知にアプローチする。本源的で哲学的な命題に迫る。生物学者という立場からこんなにも幅広い領域にまで言及できる人がいらっしゃることに驚嘆する。生物の話と半ば決めつけて読み進めていた私はしばしば“置いて行かれた”。
この守備範囲の広さ。あのバラエティ番組に招聘されるのにも強く頷ける。どんな領域のお題にも提言できそうだし、実際にできるのだろう。
我々が解明したもの(とは言え科学という枠組み内限定の言説なのだろうが)とそうでないものを峻別して論を進めていくような筆運び。
生物と生物以外の事物。それらが織りなす複雑系の環境場。そこで何がどのように営まれているかを掴まんとする本書。これは自分にとって当たりだったな。生物についての関連書や同著者の別の本を読みたい。読んでみたい衝動にかられている。
http://cheapeer.wordpress.com/2013/07/30/130730/
- 感想投稿日 : 2013年7月30日
- 読了日 : 2013年7月30日
- 本棚登録日 : 2013年7月30日
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