重力ピエロ (新潮文庫)

3.78
  • (3922)
  • (5041)
  • (5517)
  • (681)
  • (138)
本棚登録 : 39728
レビュー : 3634
著者 :
chiakihiranoさん  未設定  読み終わった 

初伊坂幸太郎。
伊坂ファンに「最初に読むなら何がよいか」と聞いたら、「無難に『重力ピエロ』あたりでどうでしょう」とのことで『重力ピエロ』。

いや、おもしろかった!
なにより兄弟、そして父親と交わす会話がいい。知性とユーモアとテンポの良さ。
冗談めかした会話から家族の強い絆が伝わってくる。

「俺の息子たちには、この病室に花を置く発想がなかったからな」
「そういう繊細さを、親から教えてもらえなかったんだ」
「親の顔が見たいな」

伊坂ファンが「映画版のキャスティングで読んでしまう」というように、岡田将生くんの繊細な顔は春のイメージにぴったり。
お兄さんの加瀬亮は私のイメージより繊細すぎるけれど、お母さんが鈴木京香なのも納得。競馬シーンは彼女のイメージで読みました。

「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」

春がまともに就職もせず、不安定な生活をしていることを、父はそれほど不満には思っていないようだった。「人生というのは川みたいなものだから、何をやっていようと流されていくんだ」と言ったこともある。「安定とか不安定なんていうのは、大きな川の流れの中では些細なことなんだ。向かっていく方向に大差がないのなら、好きにすればいい」

「地味で、退屈な事柄にこそ、神様は棲んでるんだ」

「俺はゴダールが好きだよ」
「びっくりするくらい退屈で、びっくりするくらい美しい映画をつくる、天才だ」

「人の外見は、ファッションの銘柄と同じだ」と春はよく言う。「ブランド品は高いけれど、その分、品質が良い。その逆もある。とんでもない品物にブランド名をくっつけて、客を騙すこともできる。人の外見も一緒でさ、人は目に見えるもので簡単に騙される。一番大事なものは目に見えない、という基本を忘れているんだ」

無邪気に、「さようなら」と言っている子供たちは可愛らしかった。気軽に、「さようなら」が言えるのは、別れのつらさを知らない者の特権だ、と私は思う。


レビュー投稿日
2019年4月21日
読了日
2019年4月19日
本棚登録日
2019年4月19日
3
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『重力ピエロ (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『重力ピエロ (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする