砂の家

  • KADOKAWA (2018年4月27日発売)
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感想 : 18
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 AZフーズで働く浅野健人は、昔父親の事件を担当した弁護士・鈴井から、「お父さんが出所されました」という知らせを受けて愕然とする。父は昔、母親と妹を包丁で殺して逮捕されていた。そのせいで残された健人と弟の正俊は路頭に迷い、正俊は悪の道へと走ってしまったのだ。健人は現在の「AZフーズ」の社長・竹内に出会ったことでまともな道を歩めていた。しかし時を同じくして、その恩人の竹内の元に、過去の弱みを知る人物からの脅迫メールが届く。

 その後の人生が出会う人によって全く違ってしまった兄弟。正俊が健人をうらやむ気持ちもわからなくはないが、やっぱりただの逆恨みだよなぁ。竹内への忠誠心から、最終的には父親を道具として使い、犯人を殺そうという思考回路になってしまうのが悲しい。健人にとっては竹内はどこまでも恩人で、善人のように描かれているけれど、竹内の行動・言動にはそんな健人を利用する意図が見え隠れする気がしたのは自分だけか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文芸本(日本)長編
感想投稿日 : 2022年10月27日
読了日 : 2022年10月24日
本棚登録日 : 2022年10月27日

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