新世界より(中) (講談社文庫)

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本棚登録 : 7899
レビュー : 555
著者 :
ちえさん  未設定  読み終わった 

著者:貴志 祐介
発行日: 2011/1/14
評価:★★★★☆  (所要時間:2.5時間)
読破冊数: 27/100冊


■こんな人におすすめ

・怖い思いをしたい人
・不気味なものを見たい人
・純粋な仲間を思う気持ちを味わいたい人

■概要

受賞歴
第29回(2008年) 日本SF大賞受賞

内容紹介
プラチナ本 OF THE YEAR 2008『ダ・ヴィンチ』第1位

恐怖とは内から芽ぐむ。
人間の心から出た膿が、社会を、自らを異形化させる。

心に埋め込まれた暗示が、都合の悪い記憶が蘇るのを妨害しているのだろうか。知らない方が安全――でも。警告は繰り返される。

町の外に出てはならない――禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕(はら)む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。(amazonより)


■この本から学んだこと

・「ねえ。もう一人、いなかった・・・?」
このセリフだけでサッと鳥肌が立ち、目が醒める感覚があった。

本当に怖いし不気味。

見えない無意識に対する恐怖心。
腐ったリンゴを排除しようとする、町の機関や規則に対する恐怖心。
大人が子どもの若さ故の自制心の未熟さに抱く恐怖心。
動物が力の敵わない人間に抱く恐怖心。

ここに出てくる人物たちは、
いつも何らかの恐怖心と背中合わせだ。


・「鎖は常に、一番弱い環から破断するのよ。
私たちは常に、一番弱い者に対して、気を配らないといけないの」

この言葉に納得。

昨今の大きな企業など、まさにこの言葉を忠実に再現している。
身体や精神を壊した人たちに対して異常なまでに手厚い待遇をし、神経質に気にかけているのも見かける。
会社があることないことで訴えられたらたまらないから、
そうなるのも無理はないだろうが
本当に壊れてしまった場合はいざ知らず、
それを利用しようとする人間の心は、本当に弱いのか。本当に壊れているのか。
そして気を配る側の人間の苦労は、どこへいくのか。


・「(唇の)その柔らかさを、いったいどう形容したらいいのだろうか」

中巻では、上巻よりもリアルに具体的に性行為の場面が何度か描かれている。
だが、これがまたいやらしさがなくナチュラルだから不思議である。

覚と瞬(どちらも男)が始めるところなんてまるで子犬がじゃれあっているみたいだし
早季と真理亜(どちらも女)の最後の長いキスなんて、涙が出そうになった。

男女がどうとか、性交がどうとかより
「仲間」「信頼」の感覚が先にあるからなのかもしれないが
性行為をこんなにあっさりと書く小説を、私は初めて見た。

新感覚の、「新世界より」である。

レビュー投稿日
2017年10月22日
読了日
2017年10月22日
本棚登録日
2017年10月22日
3
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