ほんの一瞬で心を
ここでは無い何処か清らかな場所へさらわれる。
そんな圧巻の読書体験をした。

迫力とか、盛り上がりとか、そんなものはなく
たったひと突き、胸の核心をトンとやられる感じ。

きっとそのくらい、「手紙」には魂が宿っていて
その上それが誰が書いた、とか
誰に宛てられた、なんてことは関係ないのだろう。


亡くなった誰かに宛てた手紙は
ただただ胸が詰まる思いがしたけれど、
宛先はそれだけではなかった。

未来の自分や過去の自分。
フォークダンスで一緒に踊れなかった気持ちを伝えられなかったあの娘。
昔飼っていたペットや、毎日のように一緒だったピアノ。
これから買う予定のカメラや、親不孝な息子。
それから、飲酒中の自分へ。笑

さまざまな人間のドラマというか、心の揺れのようなものが垣間見れた気がした。


それぞれがそれぞれの人生を生きていて、わたしには分かり得ない事ばかりだけど、同じ人間同士、やはりどこか似ていて、、、

「みんな違って、だいたい同じ。笑」


自ずと「人間への愛」が溢れてしまう、本だった。

この企画自体が、
久保田沙耶さんのアート作品だというんだから面白い。


こんなに辛い経験をした人と比べたらわたしなんて、
なんて思わず、あなただってあなたなりに一生懸命生きているじゃない。

胸を張りなさい。


未来の私へ。
私は、私で、私なりに、私をやってます。

2020年3月25日

読書状況 読み終わった [2020年3月25日]

ただただ面白かった。

手のひらと馴染む本のサイズも、
指先が心地良い紙の感覚も、
ところどころで目が嬉しくなるイラストも、
ディティールにまで目の届いたトータルコーディネートが
素晴らしい一冊だった。

おそらくこのトータルプロデュースへの
熱量の注ぎ方は本家に優っているのではないだろうか。

とにかく、好きだった。


文字の誕生、紙の誕生、仕様の発展。
グーテンベルクによる活版印刷の発明はもちろんのこと、
写生や禁書についても描かれていた本作品。

とても軽快な展開ではあるが、学びが多かった。


「本とは何か」
わたしも、まだ分からずにいる。

冒険?疑似体験?
智の宝庫?
安らぎ?
こころのご飯?笑

本を読む=学ぶ

おそらく、上の全てだろう。


どうしてわたしはこれほどまでに本が好きなのか。
どうしてわたしは、読書を愛するのか。

理由なんてない。
それじゃ足りない。

引き続き、この理由を探す旅を続けよう。
いったい、いつ、どこにたどり着くのだろう。

2020年3月6日

読書状況 読み終わった [2020年3月6日]

「活動弁士」という未来では消えてしまう仕事に
情熱とプライドを持って勤しんだ若き青年の物語。

あまりに内容が薄かったので
映画でもう一度見たいと思った。

時代背景、当時の生活環境や文化など何一つわからない、「小説」というくくりで見ればかなり手抜きな作品だった。


俊太郎の、「活動弁士」への熱意ももちろんだが
山岡の抱えていた闇の方にわたしはより興味を抱いた。

自分たちの仕事はいずれなくなっていく。
必要とされなくなっていく。
聴く人の邪魔になっているのではないか。


それまでプロとしてプライドを持って
第一線で活躍した男の、本音な気がした。

(今、振り返って見て
 少し笠井さんと重なる部分があった。)


活動弁士たちはその後、どうなっていったのだろう。

映画でそれぞれのディティールを
拾ってくれることを願う。

2020年2月13日

読書状況 読み終わった [2020年2月13日]

重い。
とっても、重かった。

これがノンフィクションの魔力だと言えよう。

この本を手に取って以来、わたしの心に張り付いて離れない
感動と恐怖の入り混じった感情。


人々はただ豊かになりたくて、ただ日本を豊かにしたくて。


「自然災害だから仕方ない。」
「社会問題レベルの事柄だから仕方ない。」
新型コロナウイルスの流行で最近よく聞き、わたし自身も使うフレーズ。

「だって、どうしようもないもんね。」
それで納得できる・納得してもらえる仕事と、そうではない仕事の線引きはどこにあるのだろうか。


「福島への責任」
東電のHPにはこんなタブタイトルのついたページがあった。
ドキリとした。

そもそも原子力発電を建設・運営した東電が初めから間違っていたのだろうか。
今回の原発事故を防ぎきれなかった東電は果たして悪者なのだろうか。

筆者のおわりににあった(このくらいしておけば大丈夫だろうという)「甘え」。
たしかに、海面から10メートルのところにあるという過信や、自然災害が過去の災害の「範囲内」に終わると都合のいい解釈をしてしまう人間の弱さ。

そして、9・11テロのあとのアメリカの原子力安全委員会のとった行動を知った今となっては、
東電にも問いだたされずにはすまにない責任があったことを理解できる。

それでも、どうだろうか。
一企業としての「東京電力」のみに責任が所在するとは正直言えないと思う。


彼らは、なぜあそこまで頑張れたのか。
彼らは、何のために頑張ったのか。

あきらめない気持ち。
たとえ物事が失敗に終わろうとも、0か100じゃない。
いかにその影響を最小限にとどめることができるか。
いろいろと考えるとこがあった。

本当に「立派」なひととは。
本当に「尊敬」に値するひととは。


そして私自身も社会に生きる人間として真実を知ること。知る努力をすることは絶えず続けていきたいと思った。

2020年1月31日

読書状況 読み終わった [2020年1月31日]

こんな大人になりたい。
素直にそう思った。

自己啓発本とはいえ、ここまで書き手の存在をありありと意識させられる作品はそう多くはないだろう。

「死ぬまで本を読む」とはどういうことか。
「立派な大人になる」とはどういうことか。
轡田さんは、丁寧に教えてくれた。


一生勉強したいと思った。
一生本を読んでいたいと思った。
そして何より、
誰よりも謙虚でありたいと思った。

老後が楽しみになった。

2020年1月14日

読書状況 読み終わった [2020年1月14日]
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この手の作品は、
最終章の伏線回収にばかり気が回ってしまう。

それぞれの章がバトンのように数珠つなぎのように回っていって、
最後は、同じ場所に戻り、円になるのか。
はたまた、一つ一つがパズルのピースとなり、大きな絵となるのか。

この作品は、円でも絵でもなかった。
あえていうのであれば、最後にくるっとねじれるハートマーク。

まさか、ココアさんと彼が、右矢印左矢印の関係になっているとは。
そのちょっとしたサプライズが、わたしが上で
「最後にくるっとねじれる」と言った意味だ。


途中、以前出てきた無関係と思われる人が登場したところも、
ハートマークと言った理由。
(少々こじつけではあるが。笑 少なくとも正円ではなかったのだ。)


今回の評価は星2つ。
(読んだことに「意味」を見出すことはできず、学ぶことも正直なかった。
ただ、最後のくるっとねじれるサプライズに感動を覚えたのは事実なので
「時間の無駄だった」とは言わないでおこうということで2つ。)

2020年1月11日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2020年1月11日]

これほど、ジャンルをカテゴライズできない小説は珍しい。
「ミステリー」とも、ただの「お仕事物語」でもなく、読み終えた後に戸惑ってしまう作品であった。

主人公、速水輝也は上司としても先輩としても同期としても、親近感のわく「いい奴」。
ユーモアのある反応や、会話のつなぎ方、お客さん(作家)に対する誠実な対応は営業として勉強になった。

ただ、最後まで行きついて振り返ってみると、速水の本当の心の中、プライベートはほとんど見えてはいなかったことに気づく。
人は誰でも、速水のように仮面をかぶって生きているのだろう。そうじゃないとこの世界を、生きていけないのかもしれない。

この作品を通して、出版業界の光と影、仕組みと今後の展望をリアルに知ることができた。
大泉洋が解説で語っていた通り、「物語だけでなく、人々の知らないものを教えてくれるということは、小説や映画の大きな魅力の一つ」。
これまで知らなかったこと、知りたかったことを知ることができて、この小説を読むことで勉強になった部分が多いにあった。

また、実在する俳優(大泉洋)をモデルにし、本人への取材を重ねて、そのまま映画化することを見据えて作られた作品という面白い試みに感心した。

取材費がかかるとはいえ、大泉洋サイドにとっては映画の主演が確約されているということだし、作家・出版社サイドとしても、映画化まで決定した状態で作品を作るというのは失敗の恐れがないため、強い後ろ盾があった上での企画・実行だったのだろう。
潔いほどのwin-win構造だ。


物語として、小説としての星は3つ。(時間の無駄とは思わないが、読まなくてもこれまでと同じように生きていけた。)
ただ、題材とそこから学んだこと、そして実在の有名人を「あてがき」にしたという面白い試みがわたしにとって初体験だったため、読む価値があったと思わずにはいられない。

今後は、営業スキル・出版業界についての研究のための専門書として、我が家に保存するつもりだ。

2020年1月3日

読書状況 読み終わった [2020年1月3日]
カテゴリ 出版
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