全編、とても良かった。文体がなめらかで温かくて超きもちいい。でもホラー。思いのほかヒューマンな作風なのですね。私は「ピエタとトランジ」が一番好きだった。岩井俊二の映画「花とアリス」に似てる、少女同士の快適な絆に他者は関係ない、って感じが。「美人は気合い」はつい泣いてしまいましたw 「爪と目」でもそうでしたが、ブログやSNSにおける女性のふるまい(見栄による擬態)をすごく上手く書くなー。よく考えれば、ネット登場まではあり得なかった姿かもしれないですね。

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 和書
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よしもとばななを誰かにお薦めするなら、まず初期の「哀しい予感」を選ぶ。世界がシンプルに完結しているから。女の子なら「TSUGUMI」「白河夜船」でも。続いて、近年最も評価の高い短編集「デッドエンドの思い出」を渡し、引きが良ければ「不倫と南米」or「虹」ですね。完全に回し者。ちなみに私が一番好きなのは、著者が大失敗だと断言してる「アムリタ」です。

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 和書

天才なんですよねー。こんなに簡潔で洒落てて、心をゆさぶる短編が書ける人いないですよ。何回読んでも大好き。「最後のひと葉」は珍しく暗い内容でw(でもそればっか知られてるっていう)、「ハーグリーブズ一人芝居」とか「金の神と恋の使者」などのコメディも最高。図書館には子供版がいっぱいあって、訳も優れてるから満足しちゃうんだけど、もっといい成人向け翻訳版があったら買いたい…

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 洋書

遅すぎるけど読んでみました。すごーーーく読みやすい。ポカリスエットみたいに即吸収できる小説。こんなに読みやすい大人の本ってなかなかないんじゃないでしょうか。内容が簡単すぎたり文章が拙なすぎたりすると、それはそれで読みにくくなるので、バランス調整がプロって感じですね。かつての赤川次郎的なスタンス。

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 和書
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保坂和志って、基本的に全然意味が分かんないw。でも、不思議とほんのり、針の穴を通すような、ものすごく微妙な感情が伝わってくる。こういうかたちでしか伝えられないエッセンス何だと思う。「この人の閾」が一番好きだな。

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 和書
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本谷由紀子のショートショート詰め合わせ。だいたい10ページ前後の短編ばかりなのだが、本当に上手い。とっとく部分と切り捨てる部分の取捨選択が上手すぎる。あと場面転換がどれも鮮やか。短いものって、詩にも近くなるね。猿のやつが好きだった。筒井康隆や星新一好きならお好みかと。

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 和書

なぜだー、小説だけ相性が悪いんだよどうしてもー。私は平野啓一郎、けっこう好きだ。TVに出てたり啓蒙書みたいの書いたり、そういうときは非常に好ましいと思う。誠実で思慮深くてためになる。これは結構悲しい事実。多分、「思想」を表すシステムとして小説を使っているんだと思う。よしもとばななも同じような感じで、要は登場人物に今一つ血が通わない。ローリングの『カジュアル・ベーカンシー』もその傾向が強くて駄目だったし、私は苦手なのかもしれない。ばななさんの場合は小説システムのあり様を偏愛してる(個人的にね)からむしろ良いんだけど、平野さんのは何かハーレクインみたいに感じてしまうんだよな、本作の特性もあるけどね。ケータイ小説的・ラノベ的といってもいい。それか…私には察することもできない深みがあるのか…うーん…でも、平野さんの思想で救われる人はいっぱいいると思います!(フォロー)読者としての私はわがままなんです!><

2013年9月17日

読書状況 読み終わった [2013年9月17日]
カテゴリ 和書

江國香織・初期の短編。児童文学の系譜なんだなあと思う。難しさがなく読みやすく、でも突然飛躍するストーリー展開。優しく冷たい、ある種残酷な言葉選びと語り口調。バックボーンを持つ作家は多いと思うのだけれど(小劇場とかラノベとか歴史家とか)、児童文学からシフトして上手くいってるのは江國さんと栗田由紀さんくらい?(よく知らない) デュークと桃子は名作だよねー。

2013年10月17日

読書状況 読み終わった [2013年10月17日]
カテゴリ 和書
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フランスという異空間で示される、共感と違和感の物語。ユダヤ人迫害や目の見えない幼子といった、人類の普遍的問題を独特の文体で切り取っています。堀江さんって1ミリもブレないからw、何でも書けるんですね。歴史も子育ても探偵ものも、もはや自由自在ですよ。どんなものでも、美しく心地よい作品に仕上がる。

2013年8月17日

読書状況 読み終わった [2013年8月17日]
カテゴリ 和書
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村上春樹と柴田元幸が、翻訳についてのあれこれ(技術・愛含む)を楽しく語る一冊。カーヴァーとオースターの短編を、それぞれに訳して並べているのが面白かった。同じ短編を訳しているんだけど、村上さんのほうを読んでも意味がよく分からないの。「難解だなあ不条理だなあ、でもそれが味、雰囲気は絶品」みたいな。で次に柴田さんのほうを読むと、すんなり理解できる。「それほど不条理でもないじゃん」って。ああー、村上春樹ってそういうことなのかも、と思った。絶対ないけど春樹作品を柴田さんに翻訳してみてほしい、日本語にw

2013年7月17日

読書状況 読み終わった [2013年7月17日]
カテゴリ 和書

森博嗣に挑戦。「きびしーー」と耐えながら読むw。感情とか情緒が含まれなくても小説は成り立つのだなあ。唯一共感できたのは、”五感や自然に造形が薄い”点かな。私も味覚をのぞけば、自然に対する興味とか相当薄いのだけど、そこは似たものを感じた。大自然より大人工が好みなのさ(by岡田斗司夫)。男の人は好きなのかもねー

2013年7月17日

読書状況 読み終わった [2013年7月17日]
カテゴリ 和書
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何年かに一度の、新規作家フィーバー来る。ピース又吉、本当にありがとうぉぉぉぉ。そしてこの「なずな」。40代半ばの男が、弟夫婦の新生児をていねいに育むさまが描かれます。赤子育ててる身としては、良すぎてうっとり。生半可な育児書の100倍役に立ちますよ(というか、主人公くらいちゃんと育てているママは少ないと思うw もっとゆるくても大丈夫)。”あるある”ものではない、けれど子育ての悦楽を完璧に描いておりますよ。

2013年6月25日

読書状況 読み終わった [2013年6月25日]
カテゴリ 和書
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昭和のセレブリティシリーズ第二弾。料理の鉄人に審査員でよく出てた女性ですね。高名な政治家の娘で、戦後すぐ離婚(!)してアメリカに留学、その後パリでシャンソン歌手として身を立てた、時代背景を考えてもモノ凄い人。パリのナイトクラブなんて当時から、ドラッグあり・男女のもつれありでかなりアングラな世界。そんななかを、持ち前の社交性と機転、日本女性ならではの気高さで乗り切っていく姿は圧巻。エッセイストとしての力量もかなりのもんです。

2013年7月2日

読書状況 読み終わった [2013年7月2日]
カテゴリ 和書
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昭和のセレブリティシリーズ。白洲夫妻の食事は(料理自体はお手伝いさんでしょうが)ほとんど長女が仕切っていたらしく、そのメニューを伝えるビジュアルブック。当然ながら使ってる器すごすぎw ともかく何を作っても、ふたりが文句つけまくってたことがわかるw 気取らずけちらず、刹那的でありながらも思いあって暮らしていた夫婦の姿がおかしくあたたかい。白洲正子の自伝など読むと破天荒すぎて無頓着すぎて、その一方で激しく繊細で、何か荒んだものを感じさせるが、こんな日常があったんだと思うとすこし嬉しい。

2013年7月2日

読書状況 読み終わった [2013年7月2日]
カテゴリ 和書

文章が滑らかも滑らか、摩擦ゼロ。「かおり」の女将のもの柔らかさ、筧さんのパラフィン紙、トム木挽きにサアカスの馬。咲ちゃんみたいな女子中学生になりたいよ。誤解を恐れずに言えば、エクスタシーな読書体験でした。書斎の競馬って何とも風雅な雑誌だなあ。あっは。 

2013年10月16日

読書状況 読み終わった [2013年10月16日]
カテゴリ 和書

芸人としてのピース又吉を信頼しているので、ちょっと騙されてやるかと新潮のキャンペーンに乗って購入。はじめて読む、堀江敏幸という作家さんの本。「雪沼」に住まう・関わる人々の生を、静かに描く短編集。派手ではないけれど興味深いエピソードが、端正な文章でしんしんとつづられる。夕暮れに降る雪のよう、とてもとても良いと思った。

2013年6月17日

読書状況 読み終わった [2013年6月17日]
カテゴリ 和書

コケティッシュな魅力を持つ女性ジナイーダと、それにホレてしょうがない若い主人公。ほのかな恋心などなぎ倒す力を持った、冷淡な大人の男。ジナイーダは美しくて賢いのに、それを男をかどかわすくらいにしか使えないっていう倦怠感がなんともいえないですね。しかしロシア文学には崩壊した家族しか出てこないんでしょうか。お父さんがプーチン風でお母さんはヒステリックなのしか読んだことがない。しあわせ家族みたいなの、知ってる人います?

2013年3月25日

読書状況 読み終わった [2013年3月25日]
カテゴリ 洋書

息子たちが絵本を卒業したら、真っ先に読ませる予定。
ヘンリー君は小学三年生。ある日あばら骨の目立つ野良犬を拾って…1950年代、古きよき時代のアメリカを舞台に繰り広げられる、ふつーで陽気な男子の日常。メダカを大量に買うはめになったり、劇の主人公に選ばれたのが嫌で、お母さんのふりしてタイプライターで手紙を書いて失敗したり(猿知恵ぶりが受けるw)。今読んでも全然退屈しない、すっごく面白い。

爆笑問題の太田光は、村上春樹をコトあるごとに批判してるらしい。まあ分からんでもない。人との関わりに常ひごろ難儀を感じていて、「文学」や「映画」を通じた自己表現に-本当の理解者を得るとっておきの手段として-強い憧れを抱いているような人には、村上氏の小説なんか腹立たしくてしょうがないだろう。他者について興味・関心が全くゼロ(著者も登場人物も)状態なのに、恐ろしい数の読者を惹きつけてやまないのだから。
しかし、村上氏は昨今変わってきた…らしい。他者との関わりを重視して書くようになった。チェスの駒で表現していたところを、指人形に置き換えたくらいの変化があったように思う。『ねじまき鳥クロニクル』は、こうした変化のちょうど狭間に位置する小説である。

主人公はいつもどおり、スカした超個人主義者の青年=オカダトオル@専業主夫。ある日可愛がっていた猫が消え、それを追うように妻が消え、大嫌いな義兄との確執が明確になりはじめる。妻をめぐるゴタゴタは人類が抱える暗部につながり、全く関係ないはずの戦争史まで追及するはめに。いろんなタイプの女子に助けられながら(これもムカつく人はムカつくんでしょうね)、オカダくんは妻の影を必死で追い求めていく。

現時点では、私は『ねじまき鳥』が村上氏の小説の中で一番好きだ。それ以前は感情移入しづらいきらいがあるし、それ以降はコミットメント(関わり)への執着に若干うっとおしさを感じる。やっぱり私は、面白い物語が読みたい。そういう意味では『ねじまき鳥』がピカイチだーやめられない止まらない。時代に必要かどうかより、チェスの寸劇が面白いのならそっちのほうがいいと思う。
さて、新作はどんなふうになってるかな。

読書状況 読み終わった
カテゴリ 和書
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もうね、いくらでも馬鹿なこと思いつくんですよ、それを物凄い集中力でやるんですよ。「やるべきこと」なんか奇跡でも起きない限り思い出さないんですよ。正直、ナニ考えてるんだかよくわからんのですよ。でも超絶面白いんです。母の気持ちを察したりとか多分一生ないでしょう。でも、とてもやさしい。うちにもそういう息子がいます。

2013年10月16日

読書状況 読み終わった [2013年10月16日]
カテゴリ コミック

父と子との記憶をめぐる、冷たく、鋭く、やわらかい空気につつまれた物語。たぶん。

なぜ「たぶん」かというと、ご存知の通り、すっげーーー読みにくいから。ストーリーを万全に把握できたかどうか自信がないのです(笑)。横書き、特徴的なひらがな使い、オリジナルな呼称(固有名詞を使わないんでしたっけ)、そして独特の言い回し。第一章のあたりでは何も頭に入ってこなくてどうしようかと思った。しかし大丈夫、不思議と慣れる。そして、気づいたら黒田ワールドに魅入られている。

受験勉強で大量に解いた古文の問題に似ていると思った。いっぺん目を通すだけでは、するりとは理解できない。でも文章の間にただよう香りは非常に素晴らしくて、よく分からないながらもウットリする。そうして読み慣れていくうちに、大量のひらがなと少しの漢字が織りなすリズムや、筆者の視点を含ませた言葉づかいが面白くなるのだ。

たとえば<しるべ>の章。妻or母を亡くした父と子。時がたち、用いていた提灯がボロくなってきたのにつられて、毎年のお盆もいつしか止めてしまうというくだり。
「死者があってから十ばかりの夏がめぐったころ,物も疲れ人も疲れた.死者の配偶者と死者の子とは成熟の出ぐちと入りぐちとへそれぞれにいっそう近づきいっそう押しつめられてあわただしいあけくれになっていた.」
どうですか、この描写。すごくないですか。うまくいえないけど。

ストーリーはさほど目新しいものではない。いや結構衝撃なんだけど(あんな乗っ取りアリなのか?)、あまりに語り手が淡々としているので「あ、ああ…」って感じでこちらも受け入れてしまう。その諦念に近いクールさこそ、描かれた父と子の真髄である気もする。

正直に言うと、半分くらいまでは「これ、縦書きで普通に書いてくれないかな…そしたら結構好きだと思うんだけど…」と思ってた。しかし読み終わるころには、ぼうっとして気持ちのよい世界にいて、終わっちゃうのが寂しくなった。まあ、300枚読まされたらかなり苦痛だとは思うけど(笑)。読み返すたびに、新しいものが感じられる気がして、まだまだ楽しみ。

2013年2月4日

読書状況 読み終わった [2013年2月4日]
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