ちくま日本文学全集 26 岡本かの子

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  • 筑摩書房 (1992年2月1日発売)
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この全集はセレクションがいい。「魚」の連作(『金魚繚乱』『鮨』)に「舞妓」物を対にするとこも憎いし(『老妓抄』と『雛妓』)、おまけで太郎への手紙を入れてるのも嬉しい。

林芙美子なんかと比べると、岡本かの子は徹底して芸術至上主義である。瀬戸内寂聴が「芸術家は、芸術家は」とやたら言うのは、岡本家の「家霊」に曲りなりにも祟られたからだろう。ところで『河明り』というのは、代表作として有名らしいが、よくわからない小説だ。小説を腹案中の小説家を主人公にしたり、物語の途中で作者が介入してきたり、モダニズム小説みたいなことをやろうとしたのか。太郎への手紙のなかに「アンドレ・ジイド」のことがやたら出てくるのも気になる。『贋金づくり』の向こうを張ったか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2011年10月10日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年10月5日

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