面白いと思った本の結末をどんなタイミングで読むか。それもけっこう大事だ。「著者略歴」はまさにそういう本で、読む量を調整して、最後を今朝、町の騒音もない時間にしたかった。昨夜は最後の章を残して眠ることにした。
それが正解だった。前の晩に予想していた最悪の結末とは全く違ったからだ。主人公の悪い奴じゃなく、だめなだけの性格のいい面をなんとかかばいたくなる。そこを見事に救ってくれる話だったのだ。
普通、面白い本と言うと、実はうつろで後に残らないものが多い。それが悪いというのではなく、そういうものだ。マイケル・クライトンの小説の分かりやすい善悪の設定、どんどん生まれる次の壁。しかし毎度そうだけれど、10日も経ったら、在り来たりの教訓しか残っていない。
ジョン・コラピントによるこの本は違う。主人公はダイハードよりも逡巡して、その中でよくもない選択を止むに止まれずバシバシしてしまう。この主人公のだめさ加減にけっこう惹かれるのだ。そこには教訓が残るのではなく、ああ、いい奴なんだよな、という納得が残る。
早朝に読み終えたので、今日1日、この納得感、開放感に浸ることができる。今日はきれいに晴れてるし。
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- 感想投稿日 : 2007年1月25日
- 本棚登録日 : 2007年1月25日
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