再読です。
印象的だったのは江戸川乱歩作品の「運命のふたり」要素について。
明智と二十面相、単なるライバル同士というだけではなく、どこか恋愛めいた相手への信頼と期待があるとの説に納得してしまいました。
それから、「ああ、あれは、まぼろしでしょうか」などの、読者への呼びかけ。
しかし、呼びかけの形をとる一方で、実は乱歩自身が自らの仕掛けた異様な事態に夢中になっている陶酔感の表れでもあるのですね。
そんな後ろ暗い悦びがつまっているからこそ、少年探偵団モノの魅惑は色あせないのでしょう。
それから「共感と驚異」についてもふむふむと納得。
人間は年をとるにつれて「驚異(ワンダー)」よりも「共感(シンパシー)」を求めるというもの。
現代のメディアが提供するテレビ番組や音楽を見ていても、視聴者の「共感」を求める内容や煽りのものが多いです。
「驚異」を「驚異」として楽しむことができる感覚を失わずにいたいものです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ。
- 感想投稿日 : 2013年6月8日
- 読了日 : 2013年6月4日
- 本棚登録日 : 2013年6月8日
みんなの感想をみる