アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

  • 早川書房 (2015年3月13日発売)
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本棚登録 : 17005
感想 : 942
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ひらがなや簡単な漢字だけで綴られた、句読点もない"けえかほうこく"から始まる本書。
この経過報告は書き手であるチャーリィ・ゴードンの急激な知能の発達に伴い、書かれている内容はどんどん変化していきます。
彼の一人称の報告を読んでいると、だんだんチャーリィの記憶や心の動きがシンクロしてきて、いつしか自分の中にチャーリィがいるような気持ちになりました。

知能が高くなるにつれ孤立していくチャーリィ。
だんだん周囲が離れていく様子も、よみがえる幼少時代の記憶も、読んでいてとても苦しかったです。
「かしこくなりたい」という彼の望みは叶ったのに…。
この望みの根底には「かしこくなればもっと愛してもらえる」という思いがあるゆえに、よりいっそう切ないのです。

終盤からラスト一行まで、油断すると泣いてしまいそう。
ああ、すごいものを読んだ…という静かな興奮とともに本を閉じました。
読後も胸の中を駆け巡るさまざまな感情を、うまく言葉にまとめられないのが悔しいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 読みました。
感想投稿日 : 2018年9月10日
読了日 : 2018年8月24日
本棚登録日 : 2018年9月10日

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コメント 5件

mayutochibu9さんのコメント
2022/02/12

すずめさん

拙い感想ですが、読んで頂きありがとうございます。

女性の村田さんファン多いですね。
読書仲間の女性に面白い!と言われ「コンビニ人間」読みました。
他の読書仲間の女性も絶賛でした。
大人の男性が女の子を監禁する事件が幾つかあり、憤慨しますが、
逆だとなぜか笑えるのはなぜかしら。

「アルジャーノンに花束を」は自分を重ねてしまうため、何度も
読んでしまいます。女心と頭痛はお天気次第という感じ。
頭痛時、仕事がまるでダメ。収まると、仕事が早く、周りが鈍間に感じます。まさに・・・・。
また、劇場型のイドラみたいで、すぐ感化されやすいです。

今度ともよろしくお願いします。

すずめさんのコメント
2022/02/19

mayutochibu9さん、こんにちは!
コメントとフォロー、ありがとうございます。

村田紗耶香さんの作品、私も『コンビニ人間』を読んだのですが、読んでいるあいだ揺さぶられっぱなしで、一気に読み終えたあと、おもしろいけどずっしりダメージももらったような感じでした。次の村田作品は何を読もうかな、と迷っていたので、おすすめがあればぜひ教えていただきたいです。

『アルジャーノンに花束を』、チャーリィと自分が重なりますよね。苦しくて、でも読むのをやめられなくて。それでもまた読みたくなるんです。

こちらこそどうぞよろしくお願いします。

mayutochibu9さんのコメント
2022/02/19

すずめさん

村田紗耶香さんの短編集、「生命式」も面白かったです。

酷い事件は報道すると、模倣犯が増えるそうです。
昔は、悪い人もいたけど、今ほど報道が拡散しない時代でした。
ドンドン、世知辛い世の中になってしまう。

本の世界だけは自由であってほしい。決して模倣犯は読書好きでない。
報道の自由は後先考えない自分勝手な論理と思っています。報道によって、犯罪が減る内容ならいいのですが。

すずめさんのコメント
2022/02/23

mayutochibu9さん、こんにちは!
『生命式』、短篇集なのですね。次に読む村田作品としてメモしておきます!
おすすめいただき、ありがとうございました!

mayutochibu9さんのコメント
2022/02/23

すずめさん、こんにちは。

図書館から、数冊借りて、気分で、よむ本を変えてます。
「地球星人」途中で、返却期限で図書館に返しましたが、冒頭から
きてますよ!
他の方のコメントを見れば、読みたくなると思います<(_ _)>

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