自然描写の評判を聞いて読んでみました。
うっそりとした、緑も影も濃い森。
その中を流れる清流の白いきらめき。
著者が描く東北の自然は確かに美しかったのですが、それ以上に気がかりを残す幕切れの印象が強かったです。
東日本大震災で行方知れずになった友人の手がかりを求め、実家を訪ねた主人公に、友人の父親は「息子とは縁を切った、あれを捜すなど無益だ」と告げます。
なぜそこまで…と戸惑っているところに、「息子なら死んではいませんよ」という父親の真意の読めない一言が加わり、もやもやとしたものがのどの奥にあるような感覚のまま読了。
登場人物たちの乗っている車の種類、煙草やお酒の銘柄などは具体的な名前で描かれている一方で、ほのめかされたことがほのめかされたまま淡々と進んでいくぼんやりとした部分もあり。
そのギャップがもやもや感をさらに膨らませているのかも…と、あとから考えてみたりもしたのでした。
読書状況:読み終わった
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読みました。
- 感想投稿日 : 2017年10月10日
- 読了日 : 2017年9月24日
- 本棚登録日 : 2017年10月10日
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