
私の苦手な短編集とは知らずに購入してしまったので
少し後悔しましたが
予想を裏切られ、とってもいい作品集でした。
江國香織の短編を初めて読みましたが
こんなにも不思議な世界が詰まっているのか、と驚き。
とある日常の中に、突然スルスルと不思議な世界に入っていくのに
それが違和感もなく、溶け込んでいける。
そして、またふと突然現実に戻り、物語が終わる。
読み終わりが実にさらっと描かれているので
「これで終わり?」と物足りなくなる人もいるかもしれないけど
私はとっても好き。
余韻があり、ふわっという表現がぴったり当てはまる終わり方。
「これからこうなっていくのかな」とかあれこれ考えるというより
読み終わって、ただただ余韻にふける、という感じ。
また、子供から大人、老人まで幅広い年齢層を主人公に設定してあり
本当にさまざまな人間模様が描かれています。
こんなにたくさんの人間を書き分けることができるのはすごい。
物語のもつ世界観は江國香織そのものだけど
そこに描かれている人間は、全く別の生活感のある人間が
何人にも渡って描かれている。
江國香織の世界はなかなか言葉で表現できないけれど
短編集が苦手な方に、ぜひお勧めしたい作品です。
- レビュー投稿日
- 2012年7月3日
- 読了日
- 2012年7月3日
- 本棚登録日
- 2012年7月3日
『つめたいよるに (新潮文庫)』のレビューへのコメント
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