「東国の雄」上杉景勝 謙信の後継者、屈すれども滅びず (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年7月9日発売)
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感想 : 4

総じて、剛毅なエピソードは軍記物に多く、強いていえば、関ケ原の敗戦後の処遇について「今度、会津を転じて米沢へ移る。武命の衰運、今においては驚くべきにあらず」という趣旨のことばを吐いたシーンがしびれた。とりあげられた書状やエピソードからは、細かいことにこだわる神経質で生真面目な一面が感じられ、徹底的に社交が苦手だったとも感じられた。関ヶ原に至る過程でスケープゴートにされたのも、社交下手ゆえ味方してくれるものが少なく、政治的敗北に至った感あり。そうはいっても、ただひ弱い訳ではなく、御館の乱で君主の座をとりにいく過程、織田家の侵攻、関ケ原の敗北と二度の滅亡の縁から上杉家を生き延びさせた手腕、果断な面もあったことは忘れてはならない。直江兼続をはじめとして配下にも多くの人を得たところ、凡なる存在では率いていけなかっただろう。第五章は、年取ってできた嫡男への厳しさと愛情を兼ね備えた書状、徳川政権下でどう生き延びていくかという苦闘が描かれており、御館の乱、関ケ原以外で語られることの少ない景勝像が得られて個人的に収穫でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年7月20日
読了日 : 2021年7月18日
本棚登録日 : 2021年6月1日

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