新書アフリカ史 (講談社現代新書)

制作 : 宮本正興  松田素二 
  • 講談社 (1997年7月18日発売)
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感想 : 31

ヨーロッパの「発見」までアフリカには歴史はなかったなどという言説を一刀両断、それ以前のアフリカ世界にも多様な歴史活動、生態、交流があったことを十二分に説明を尽くしてくれる。サハラが牧畜可能だった時代。「アフリカのバーミンガム」と呼ばれるほど製鉄のさかんなクシュ王国のメロエ。1150年から100年ほど存在した南部アフリカ最初の大国家マプングブエ国。サハラ奥地のユダヤ人。無頭制社会のヌエル人。金で栄えたガーナ王国。トンブクトゥ、ジェンネの発展。などなど。ナイル川、ニジェール川、ザイール川など5つの大河にかかわる世界で切り取った論説も意欲的。/ヨーロッパとアフリカの戦い、植民地時代、アフリカ諸国の独立、現代までについても興味深い論点多数。/歯をとがらせたり、口に皿をいれたりの奇習は、奴隷狩りを逃れるためだったとは。トゥクロール、マーシナ、サモリ、ソコトなどの帝国についてはもっと知りたく思った。/連れ去られたアフリカ人からの視点、「オラウダー・エキアノすなわちアフリカ人グスタブス・バサの生涯の興味ある物語」 は手にとってみたい思い。二度の世界大戦で宗主国に兵士として動員されたアフリカ人は、外の世界で見聞を広め、アフリカの現実を広い視野でみつめ、支配者の白人も同じ人間だと知った。/トライバリズムとナショナリズムのダブルスタンダード。なぜナイジェリアはナショナリズムとして称揚され、ビアフラはトライバリズムとして排斥されなければならなかったのか。判断する強者側の論理ではないか、と。/近代化路線の行き詰まりによるアフリカの伝統への回帰。1991年、エチオピアでの単一のネイションを前提としない国家の成立。農耕する都市というのはアフリカ都市の原像。アフリカの地域共通言語でまとまった言語世界という未来図。/24年前の本なので、その後の後日譚で評価が変わったり、研究が進展した面もあると思われ、そこは改訂新版にあたっておぎないたい。/他に手に取りたいと思った参考文献:(1)嶋田 義仁 マーシナ帝国物語 季刊民俗学46 (2)嶋田 義仁 嶋田 義仁の牧畜イスラーム国家の人類学―サヴァンナの富と権力と救済(3)岡倉登志 二つの黒人帝国. アフリカ側から眺めた「分割期」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月29日
読了日 : 2021年5月22日
本棚登録日 : 2021年5月3日

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