ラディゲの死 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1980年12月29日発売)
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感想 : 30

「芸術の顔 三島由紀夫」というアンソロジーで、「旅の墓碑銘」からの「旅人はもまた泥棒みたいなものさ」「一分のちに、無縁の人間になれるとわかると、僕たちは安心して友だちになり、相手の中へずかずかと入ってゆき、そこから全部を失敬して引き上げる。世界中に友人を作るのは易々たるものだね」をはじめ、いくつもの言葉が気にかかり、一冊読んでみたくなった次第。/尊敬は一種の不換紙幣で、どこにも黄金の感情はないのだ(大臣)/生活するためには生活を犠牲にすればよろしい(魔群の通過)/神を見た人間は、視力の極地まで、人間能力の極地まで行ってかえって来る(ラディゲの死)/幸福な状態は、幸福について考えるのに適していない(施餓鬼船)/電車に惹かれて首をはねられた恋人たちのイメージ、箱根の芸妓との恋におぼれた真面目一徹の丁稚が、東京に戻るとともに音信を絶たれただただ虚しい思いをかかえるシーン、部下に戦犯の罪を押し付けてその父からの復讐におびえる一家、蕩児の放埒をむしろ褒め称えこれぞ男だと甘やかしつけあがらせる祖母...など。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年7月29日
読了日 : 2021年7月24日
本棚登録日 : 2021年6月27日

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