ケマル・アタテュルク トルコ国民の父 (世界史リブレット 人 86)

  • 山川出版社 (2016年9月1日発売)
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オスマン帝国末期からの革命運動、そして第一次大戦での敗戦後からの、アンカラ政府樹立、トルコ共和国の成立から、大統領時代の政策、その死までが描かれる。治安維持法や祖国への犯罪法、議会運営のやり方、政策の決定方法、なりふり構わぬ政敵の排除など、今の基準に照らし合わせれば独裁的、専制的と言われそうな側面もあるが、おそらく、そこまでしなければ当時のトルコをまとめ上げられなかったのだろう。祖国解放戦争を共に勝ち抜いてきた戦友たちも一人また一人と離れていき、イスメット・イノニュとの対立を最後に、身の回りに一人もいなくなってしまったというのも凄まじく。興味深かったのは、オスマン帝国末期の指揮系統の弛緩。普通に、命令を拒否して、とあるが、上からの指令が行き届かないのなら、何をもって、軍事、行政がうまくいくというのか。そしてオスマン帝国内で昇進しつつ、いつからケマル・アタテュルクがオスマン帝国を見限り、かわりとなる体制を志向したのか、と。/「来た時のように、引き揚げるべきだ」/ローザンヌ会議、ケマルの暗殺未遂事件たるイズミル事件の詳細。また、経済、宗教、文化政策、国制など、様々な分野で果たした業績についても触れられ、概観できた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2016年8月31日
読了日 : 2016年9月18日
本棚登録日 : 2016年8月31日

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